その1だよ~ 夏アニメも楽しかったね。
- 異世界失格
- 俺は全てを【パリイ】する 〜逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい〜
- 天穂のサクナヒメ
- ATRI -My Dear Moments-
- ポケットモンスター(2023)58-67話
- しかのこのこのここしたんたん
- モブから始まる探索英雄譚
- 時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん
- 異世界ゆるり紀行 〜子育てしながら冒険者します〜
- 疑似ハーレム
その2予定:まほあく、ダリヤ、ダン中、菜なれ、エグミ、僕妻、V伝、神之塔、負けヒロイン、SHY(デリコズ・ナーサリーは秋)
異世界失格
面白かった~~!「もしも太宰が異世界に転生したら?」から始まり、一発ネタかと思いきや、どんどん引き込まれるお話でした。1, 2話で完結するくらいのテンポも小気味よかったです。
まず、太宰以外の異世界要素はコッテコテなのが楽しかったね。太宰から見て「異世界系」のテンプレ世界はどう映るのか、そこに生きる人々の苦悩は面白いと言えるのか、という目線はあったと思います。
太宰のイメージと異世界小説は、厭世という面からは通じ合うものがあると感じています。酒・たばこ・ドラッグに溺れて心中を願うのと、現世ではない別世界で幸せになりたいと空想するのは、どちらも苦しい現実から一時的に離れる行為だからね。
この世界、ザウバーベルグを見て、センセーは文句を言いながらも悪くなさそうにしてるのが嬉しかったです。
異世界に生きる人々には、堕転移者たちも登場しました。各々が苦悩を抱える中、面白い人とくだらない人はハッキリ区別されて見えます。くだらない人は悪人顔だからすぐ分かるけど、案外デザインを直して美談にすれば、同じ過去で主人公を張ってる転生小説が山ほどあるかも……と思わされたり。
とはいえ、「太宰治は異世界小説と相性が」まで言うとカドが立ちそう。だからあくまで、この物語の主人公はセンセーなんだろうなって。太宰とは一言もいってない。
センセーの本家からちょっとズレたキャラクターっぽさが好きです。チョコを溶かして固め直したら出来たような。あまり細かい部分で突っかかる必要はなく、気楽に笑って見られました。
異世界に生きる人々は現地人も。アネットさん、タマちゃん、ニアさんが心底いい人だと分かってくるのが良いよね。最初はただのテンプレに見えたのに、今ではすっかりまた会いたい人になりました。ニアさんがほっぺぷにぷに要員なの好き。
主人公なら理由もなくモテる、というのもテンプレのひとつです。だけどセンセーは何かと命を懸けてくれるから、本当にカッコよく見えるのも笑っちゃいました。本人はただ死にたがりなだけなのにね。
そうして笑っていると、太宰作品らしい人間の浅はかさ、社会から疎外される話にも切り込んできて。
異彩を放っていたのが8話です。トネリコの村人はどうしようもなく罪深く、垢塗れで、滅びへ向かうバッドエンドでした。救いを与えると伝えられた優しい精霊が、最後にセンセーへ与えたものが無限の死の薬だった衝撃といったら……。
このシーンは自分なりに、2通りの解釈をしています。
1. 精霊は村を救えなかった。もはや人間にとっての「救い」とは死ぬことだけだ。
2. センセーは薬で死なない。この世に「救い」があるなら、それは現実から一時的に離れる間だけだ。
推しは2.の方です。精霊が与えた薬は、センセーを望み通りに殺しうる薬ではなく、あくまでカルモチンなところが気に入っています。
カルモチンを飲んだって現実は好転しない、そんな事は分かってるんですよ。それでも人は苦しい現実を前に、目を背け、一時的な快楽に「救い」を求めることがある。さっきの厭世になぞらえるなら、酒を飲み、煙草をふかし、ドラッグを噛み、そして安い異世界物語を眺めては癒しを得るような……ああ、背徳の匂いがする!
異世界物語を見ることも、原義的には現実逃避のニュアンスがあるものと思います。そして『異世界失格』がその人の弱さを否定するハズはないよ。
もう一つ面白そうなのは、与えられたカルモチンは∞ということです。
精霊は「救い」が一時的な逃避にしか無いことを理解したように見えました。だからカルモチンを渡すけれど、願わくばその現実逃避の時間は、一時的ではなく∞に続きますように……という祈りを込めたプレゼントにも思います。なんて心優しいんだろう。
俺は全てを【パリイ】する 〜逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい〜
気を緩くして楽しめました。1話で期待を高め、実は今期のアニメコインの一角にもしたのですが、2~11話はむしろ見やすい雰囲気に収まっていった印象です。
パリイ、勘違い要素と、お決まりを繰り返すストーリーで安心感がありました。偶然(?)同じ人が歌う『即死チート』とは似たものを感じて、即チがいけるなら【パリイ】もいける、というのは何だか腑に落ちる気がしています。
王道に沿いながら、ちょくちょく変化球を投げてくるのが独特でした。
硬派というのかな……ヒロインがあまり目立たないのは珍しかったです。リーンさんの画像は希少。なに、リーンさんが笑顔でごはん食べてる横顔キャプを見たいのかい? すまないがウチじゃ金貨5枚だよ。
ギルドでよく話すのも花形の受付嬢じゃなく、親方の方だもんね。なにかを意図しているのかと思いきや、2話になると負ける槍使いが出てきたりと、一気に知ってるアニメに戻ってきた感触でした。あまり恋愛っぽくならないのは清々しかったです。
ヒロインの代わりじゃないけれど、後半から存在感を増していったのは金ピカの王様。このシーン勢いありすぎて不憫だけど笑っちゃった。
老人の王を徹底的にボコボコにするのって、どちらかというと歴史的な悲劇がよく使う展開に思います。ここも、なろう文脈の定型からは少しズラしにかかってるのかな。
最終回は、天涯孤独なノールさんがどのように報われるかを気にしていました。1話のノールさんはとことん善良な少年で、この人の行く先を見たいと思ったのが【パリイ】に期待したきっかけでもあります。
12話は1話の答え合わせ的な話。教官たちから次々に破門されたのは才能が無いから……というのが実はすべて勘違いで、ただ真実はノールさんには届かない(パリイされる)からのED入り ⇒ ついでに塔もパリイして「俺は全てをパリイする」がどん!! の流れがシンプルで力強かったです。
はじめは左の画像を見て、周りにある寂しい隙間を仲間たちで埋めるのが最終回になると予想していました。でも実際のラストシーンは寂しい風景のままで、今ではこの終わり方がハマって見えます。
ノールさんは全てを弾く人だから、仲間で囲っても幸せ感は届かないだろうなって。だから遠巻きにでもノールさんを信頼する人たちがいて、その人たちが待つ王都へ歩いて行くのが、報われるENDになっていたと感じます。外から来たものを全て弾くなら、自分から幸せのある場所に歩かせればいいよ。
天穂のサクナヒメ
おひいさま、大きくなられて……
ゲーム既プレイです。色々と設定のある作品なので補足しながら書こうと思います。
アニメからでも原作勢でも楽しめるお話でした。面白いのが体験の違いで、「自分が手間をかけてお米を作った」という達成感はゲームが得意とするところです。一方アニメが得意なのは描写で、稲を植える、夕餉を箸でつまむ……といった仕草のひとつひとつに表現が宿っていました。P.A.アニメの十八番だね。
良かったのが、アニメを見た後でもゲームをやる価値が充分にあるところです。特にラストシーンとそれに至るお話はゲーム版でしか見られない展開もあり。今ならBEST PRICE版が出てちょっとお安いです。夜更かしするほど面白かったよ。
最初のお米がとれるまで、たっぷり話数がかかるのが良いよね。序盤はロクに食べるものが無く、食卓はヨモギ汁や獣の白干ばかりになるのも懐かしかったです。しかも人ってお腹が空くとイライラしてくるから、序盤は空気が悪めなのもリアル。
何でもできる神様(プレイヤー)に比べて、人間たちが最初は何もできないところもお気に入りです。便利なNPCじゃなく生きた人間なら、そう都合よく動いてくれるワケもないよね。この「生きてる」っぽさが良くて、たとえば毎日の献立を考えるときも、できるだけ良いご飯を食べさせたいな……という動機に繋がっていました。
ところが、後半になると各々がジョブを手に入れて、子どもがたった一人で鍛冶屋や仕立屋を営んだりするわけです。人間がそんなことできるの……?という疑問は後に続きます。
初収穫のシーンは見せ場でした。本当は1年目に穫れたわずかなお米は、すべて換金に回す方が効率が良かったりします。でもやっぱり食べたいよね、わかる。同じことを自然とやった記憶があります。ここの噛みしめる映し方には見入りました。
しかもすごく贅沢な食べ方をしていて。白米じゃなく玄米にすれば食べる量が増えるのに、そういう妥協は一切ない。まさにご褒美タイムでした。
このシーンが面白いな~と感じました。ここ違和感ありませんでしたか? 4年の歳月が流れているのに、子供たちやかいまるが1mmも成長してないんです。ゲームでは3Dモデルが成長しないのは当然で、特に違和感もありませんでした。ところがアニメでは、成長を描かないことが伏線として機能するのが面白くて。
ここは11話あたりで少し出た「神気」の話に繋がります。ヒノエ島で暮らすうち、たうえもん達の存在はだんだんと神様に近づいていました。元から神様のサクナヒメが幼い姿で酒を飲むように、神様は見た目の年齢がほとんど進みません。人の身を超えつつあるために、きんたとゆいは子供でも、鍛冶の神様、仕立ての神様としてお店も営むようになるわけです。
他にも、ゆいが蜘蛛を食べる素振りを見せたりと、気付けばラッキーな伏線はあちこちに用意してあって。イタズラ心が楽しかったです。
タマ爺が本当にかわいく描いてもらえたね……。原作からストーリーが変わったのはここでした。
タマ爺は折れた剣の半身で、もう半身が無いまま別の鉄と混ぜて農具に生まれ変わると、魂を失ってしまいます。サクナの父は武神だから剣を握ったけど、サクナヒメは豊穣神だから農具を振るうんだね。
タマ爺を本当に打ち直すまでやったときは、バッドエンド分岐かと固唾を飲みました。「もう爺がいなくてもおひいさまは大丈夫」って言葉が胸に刺さってしまうよ……おひいさまが大きくなったことは見ていてハッキリ感じてたから。生き返ってくれて本当によかった、生き返るくだりも納得できるものでした。
ラストシーンについて。アニメ版では、とある話がまるっと省略された〆でした。個人的にはラストが感慨深かったのでちょっと寂しかったけど、すべての話をアニメ化は出来ないので、原作を遊ぶ人に美味しいところを残してくれたと捉えています。
なので、以下はゲームを手に取った人が見てね。もうやった?
★以下、白文字反転
ゲーム版では、神様に近づいた人間たちの後日譚が描かれました。たうえもんは頂の世に残り豊穣神に、ミルテは麓の世に戻り宣教師に。その中で、きんたとゆいが離れ離れの道を選ぶところがびっくりして……! 初回のエンディングでは別れにまつわるイベントを回収しないままラストに進んでしまい、呆然とした思い出があります。あんなに仲を深めたのに、人と神の恋が叶うことはないからね。切ない……
ATRI -My Dear Moments-
ATRIたん、あぁATRIたむ、ATRIたも
私は禅の心を学ぶために『ATRI』を見始めました。萌がある。夏クールのうちは人間らしい失敗をしても「高性能ですから!」で言い訳できるライフハックもあったよ。
古き良きノベルゲーっぽさに惹かれました。海と錆びれた廃校に夏空だけが燦々と輝いてるのが好き。とはいえ、この雰囲気が世間に受け入れてもらえるのかは不安もありました。感動ノベルゲーのアニメ化って、今は厳しく冷ややかな目を向けられがちな時代だと思います。
1話はこのあたりでグッと掴まれました。あんなに喜んでいた靴を落として平気でいたのは、感情が無いからなのか、それとも夏生さんに追いかけて欲しくてわざと落としたのか……って。
今となっては考えられないけど、1話時点の夏生さんって相当余裕のない人だったんだね。「自分の中の時を止めていた」という表現は、13話から振り返ると腑に落ちるものがあります。
もうこれだけで百見の価値があるよ。ATRIたもが動くたびにかわいくて、しかも一緒に過ごすうちに、夏生さんや周りの人たちも影響されるように輪郭が丸くなっていくのが好きでした。ATRIたもがこの島に来て変えていったものってすごく大きい。
特に、夏生さんが本当によく笑うようになって……。楽しいときだけでなく、シリアスなときにも笑ってみせる表情が印象的でした。夏生さんからATRIに感情を教えるときの柔和な表情からは頼り甲斐すら感じられるようで。最初は逆だったのにねえ。
こんな楽しい日々がずっと続けばいいのに……と思いつつ、このアニメの雰囲気的にそれは無いんだろうなって。限られた時間を惜しむような気持ちでも見ていました。
最終話「時よ止まれ、お前は美しい」はゲーテの長編戯曲『ファウスト』の台詞です。ここは知ってないと少し難しいと思うので、一緒に見ていきたいです。一応この言い回しは原作にもあるそう。
ファウスト博士はいくら学問を究めても人生の充足を得られず絶望していた。そこに悪魔が現れ、この世のあらゆる享楽を与える代わりに、死後の魂を捧げよと持ちかける。死後に執着の無いファウストは承諾し、合言葉として「この瞬間よ止まれ、汝はいかにも美しい!」と口にしたとき魂を売り渡すよう契約した。
契約で若返ったファウストは享楽に耽り、途中で盲目になる。そして晩年、海を埋め立てて「自由の土地」を開拓する事業を始めた。理想の国家が築かれる様子を感じるため丘に立っていると、盲目をいいことに悪魔がファウストの入る墓穴を掘り、その音を開拓が進む音だと勘違いする。ファウストは壮大な夢を語る中で「この瞬間よ止まれ」の台詞を口にして、最期を迎える結末。
海を埋め立てて土地を拓く事業、というのがエデン計画なのでしょう。夏生さんは勘違いではなく、現実にその光景を見届けました。
「時よ止まれ、お前は美しい」とは、13話の冒頭こそ美しいATRIを救うためにもっと時間が欲しい……という意味かと思いきや、これはおそらくミスリード。本当は理想とする瞬間を見届けたので、私は貴女に魂を捧げるという意味だと解釈しています。なんてロマンチックなんだろう……。
70年という時間幅も効いていたと思います。これは、夏生さんたち人間が寿命を迎えるころの年月。
想像ですが、夏生さんが電脳世界にATRIを迎えに来たときって、既に死の寸前だったのではないでしょうか。『ファウスト』の終幕は昇天のシーンなので、『ATRI』のラストにも2人の最期が関係していると思います。
悪魔ではなく可愛らしい初恋の相手に魂を捧げて、これからは無限の時間を2人で暮らせる。夏生さんが子供の姿に戻ったところは最高でした、電脳世界ならそれができる! "若返り"もファウストの成分とは思いつつ、ここは純粋に嬉しかったです。夏生さんもATRIと2人で並んだときの見た目のことを気にしてたもんね。
あからさまでない、詩的な雰囲気が好みでした。分かりやすく「ここで感動しろ!」ってやると敬遠されがちな時代だと思うので、読むほどに魅力が見つかっていく手触りが心地よかったです。
まだまだラストシーンを再解釈しただけなので、本編全体を見直すとさらに色々見つかりそうです。実は「時よとまれ、汝はいかにも美しい!」にある時とは、英語でいうTimeではなくMomentにあたり*1、このアニメの副題が-My Dear Moments-なところを見るに、根幹に関わっていそうです。原作も気になる。。。
ポケットモンスター(2023)58-67話
オレンジアカデミーの後編です。この場面が好き、そうだよね楽しかったよね……この先はまた新しい冒険が始まるのかな。前編の感想はこちら。
まずはチャンプルタウンから。アオキ、嫌いじゃない……平凡なサラリーマンがcv.鳥海さんなことあるんだ。ゲームで「あなたが一番好きなジムリーダーはどの方ですか?」って質問があって、素で「アオキ」と答えたらオモダカさんから渋い反応をもらった思い出があります。
登場するときの正体不明な感じもよかったね、アニメでは先に四天王の顔見せをしてるからバレバレではあるけれど。冴えない人の相棒がバチバチにカッコいい系なのもギャップ。
60~65話までは雪山の話。少し長めだけど、これもゲームの体験には沿っていました。ナッペ山って広大で、行こうと思えば序盤からでも行けてしまい、強い相手を避けながら長時間ぐるぐる偵察した思い出があります。
試験にもなかなか合格できなくなってきたね。レベルの高い地域だから、駆け出しのリコちゃん達では歯が立たない or 負けても合格にしてくれるのは頷けました。ただ、実はホゲータさんだけは勝負にも勝ってるんだよね……コルサさん、ライムさんと続いて。思った以上にスゴい子なのでは?
リコちゃんが美少女すぎてまた悪い大人に接近されてる……ドットさん、しっかり見てないとすぐに盗られちゃうよ。アメジオさんはだいぶ軟化してきたね、光堕ちの日も近そう。
おめでとう……本当におめでとう、ぼろぼろ泣いちゃいました。
ホゲータさんをホゲータさんと呼べる時間がわずかなのは察していて。ただその日を迎えたとき、純粋に心から祝福できるのかはずっと不安でした。たとえば未だに「カイデンさん」と呼びたくなる未練がましい気持ちは確かにあって。
まずはクール最後という大きな晴れ舞台で、沢山の人たちの声援に囲まれてその時を迎えたのが嬉しかったです。リコちゃん達だけじゃなく皆がホゲータさんのことを待ってたんだよ。この回はいつものスゴい絵からさらにパワーアップした迫力がありました。
ニャローテさんとの一騎打ちに圧されたとき、ロイくんが迷うことなく「アチゲータ!!」って声を掛けたんです。これを聞いたとき、なんだか背中を叩かれたようで。この声のおかげで勝利も掴みました。
もう覚悟を決めるしかないんですよ。ホゲータさんのぬいぐるみボディが好きでも、座ってるだけで斜め上を向くのが好きでも、これから色んなことが変わっていくとしても。もう呼び方を悩むのはこれが最後です。
だとしても、アチゲータさんの中身は変わってないんだよね。大好きなロイくんと抱き合ってお腹を鳴らすのを見たとき「ああ知ってる子だ」と安心してしまって。寂しさも確かにあるけれど、その何倍も嬉しさが上回る気持ちがありました。少し立派になったアチゲータさんのことをこれからも見守らせてね。
しかのこのこのここしたんたん
本当にしかネタ一本で走り切った……。
気楽に見られました。古き良きスタイルの掛け合い漫才で、何となく懐かしさを覚えたりも。やっぱりツッコミ役って金髪暴力ヒロインが適任だから。最初こそ戸惑いもあれど、だんだん楽しめるようになりました。
世間のプレッシャーに晒されたな~と思います。放送前から大量の宣伝を打たれていたので、「今から面白いギャグをやるよ!!!」なんて言われたらハードル上がっちゃうだろうなって。そのせいか、1,2話時点では思ったほど……な印象も無くはなかったです。
ただその後、視聴サイドが『しかのこ』にどれだけ適応したかどうかで、楽しめた人とそうでない人が二分されていた気がします。このアニメは遠慮なしに突っ走るし、そこが魅力とも思うので、こちら側が寄っていかないとすぐに振り落とされてしまうよ。
自分なりには『しかのこ』をギャグ+癒しの面で見ていたのが大きかったです。ばぁしゃめ。
特に3話あたりからは、ギャグの良しあしを追及するのはほどほどに、いま気持ちがラクかどうかで楽しめました。自由奔放に作ってるのが伝わるアニメって、気負わず純粋にエンタメとして見られるよ。ただし、適応といってもこれは心構えの話で、『しかのこ』を芯から理解できたかとは別の話。きっと理解できる人は存在しないんだろうね。
案外好きだったのは6話の18本立てエピソード集です。とりとめのない話が矢継ぎ早に流れて有無を言わせない感じ。漫画だと自分のペースで読めるし、漫才にも呼吸の取り方があるけど、アニメで掛け合いのギャグをやるのはこのテンポ感が難しいよ。
せんとくんさんありがとう……奈良県公認マスコットがヒロインの顔を血が出るまで殴っていいことあるんだ。
自由なアニメほど〆でグダるとも思っていたので、大御所の胸を借りつつ最後までパワーが衰えなかったのは最高でした。12話は歌い始めたところで『邪神ちゃん』ENDかと思いきや、実は『黒井津さん』ENDなんだよね。
やっぱりこのアニメは爆発オチだよね~~~ 、信じてた。中盤でも体育館を吹っ飛ばす回があって、今でもこんなに美しい爆発オチが見られるのかと感動した覚えがあります。爆発オチそのものが好きというより、爆発オチが許される雰囲気が好き。
モブから始まる探索英雄譚
このアニメ楽しかった~! 思わぬ掘り出し物でした。たぶん「夏アニメで何が好き?」って聞かれて『モブから』を答える人はだいたい友達、魔核をお食べ……。
かなり気楽に見ていました。キンチョールで敵を倒す人が出て気を緩めないはずがないよ。
ユルい雰囲気の中にも不思議と光るものはあって、たとえば3話の劇中劇「ダンジョンラブストーリー」からOPに繋がるくだりはお腹を抱えて笑っちゃいました。これはいったい何の話……?から叩きこまれる力強い「新たな記憶の!!幕あけ!!!」でアウト。
このアニメおかしいよ(褒め言葉)7話のオープンキャンパス回が面白すぎて。あまりにも唐突に落ちていくヒロインたちと、無限に曇っていく葛城さん。
サッカーに入る前のお茶会シーンがむしろ長く、説明口調で、ずっと座ってる静かな時間だったんです。そこから急アクセルで3人斬りするから、ゆらゆら揺れながら笑っていました。別れ際の3人が通じ合ったようにお互いに頷き合うの、そんなことある?? カタキ同士だよ。ただ、このアニメなら泥沼にはならないだろうなって妙な安心感もありました。
元から面白かったけど、この7話を境に、期待が確信に変わった感じがしました。いちど噛み合うと後はボーナスタイム、何をやっても面白い。
このあたりも好きです、高木さんの友達2人も気の良い人たちだったよね……。
友達が異性と2人きりで出かける! 心配だ! ってなったとき、普通は葛城さん側に友達が付いてくるものだよね? 高木さんにガード役が2人付いて、葛城さんがソロなのがなんだか笑っちゃって。高木さんは昔から守られる側の人だけど、今もこうして周りに人がいて笑顔なのを見ると、不思議と嫌いにはなれなかったです。
ひかりんに一番に話しかける相手がいつでもミクちゃんなところも好き。中盤からはひかりんのメインヒロイン感もすごかったけど、それでも主人公の高木さんには取って代わられない友情関係があるところ。友情のアニメが好き。
最終回になっても予算潤沢とはいえないアニメだったけど、特にこの決めシーンは愛が籠っているのを感じました。人を1回転させるのってすごく大変だからね。患者を病院から攫って洞窟に連れてきたり、裸足で1回転したら痛いとかもあるけど、そういうのは全て許せてしまう雰囲気のあるアニメだったなと感じます。
時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん
2期決まったね、王道ラブコメでした。
OPが好き。人が恋に落ちるときの爆発力。
このアニメは個人的に「くだらないと言われることをどれだけ真剣にやるか」の一本で見ていました。
刺さったのが3話です。グループ課題でアーリャさんがひとりで頑張って、誰にも負けない自信作をあげたのに、結局は他のグループの発表の方が評価された場面。
この悔しさを私は知っているつもりです。たかが学校の課題ひとつ、そこに真剣になる要領の悪さは承知しています。でも情けないじゃないですか。みんな驚いてくれるかな、面白がるかな……といそいそ用意したものが実を結ばないのって。
丹精込めて生まれたものって、もう自分の手を離れて我が子のようになると感じる時があります。その子が不格好だろうと、1人にしか見てもらえなくても全然いいんです。だけど、誰にも見てもらえず他と比べて「劣っている」と汚名を着せられるのは本当に苦しい。*2
第3話は、「この出し物を良いものにしたい」とひとりで文化祭衣装を用意していたアーリャさんが、今度は久世さんの計らいで報われるお話でした。
このアニメはラブコメなので、2人の仲が深まる様子をじっくり見せるべきなのはそう思います。ただ個人的には、完成した衣装が活躍するところや、念願叶って文化祭が良いものになる様子をもっと見たい気持ちはありました。短いダイジェストながら流れたところは最高に嬉しかったです。
何かに熱心に取り組んでくれる人というと、久世さんは確かにアーリャさんにお似合いの人だなって。
生徒会長選挙だって、言ってしまえばくだらない校内行事です。そこに本気になったって仕方ない……けど、本気になってもいい。11話で久世さんが本気を出す場面は、よくある主人公覚醒シーンかと思いきや、アーリャさんにとって恋をするにふさわしい一番カッコいい瞬間だったんだと思います。
異世界ゆるり紀行 〜子育てしながら冒険者します〜
デン!!!テケテテテ デン!デン!デン!デデデデン
こっそりとBDを買いました。たくさん遊んで、おいしいものを食べて、あとは寝る!これが一番。たったこれだけのことがいつしか難しくなってしまったね、我々は。
監督は『ビステマ』から。ビステマが「誰かに守ってもらいたい/もらいたかった」という欲求に一本気だった印象で、一方の『ゆるり紀行』は「ぐっすり眠りたい」のように、本能的な欲求を癒すところでは似てるのかなと思います。あなたの心の弱った部分はどっち?
実は賢いアニメだったな~と感じます。癒しを見せるための工夫がたくさん。癒しアニメが「癒し」たりえるのってすごく難しいからね。
まずは主人公。タクミさんは無個性な人だけど、別に悪いヤツでもないのが見ていて安心でした。最初にタイトルを見たときは警戒心があり、なろう主人公が子供を使って所有欲を満たす話なのでは……? と危惧したけど、少なくともそういう話ではなかったです。主人公なのに脇役っぽい。
次に戦闘シーンの短さ。だいたい5秒で終わるよ。このアニメに戦いは求めていなかったので、パンチ!キック!たおした―! でご飯パートに直行するのがストレスフリーでした。
あと世知辛いけど……絵が崩れないことも癒しには大切に思います。崩れると見てて不安になるからね。これがまた難題で、省力化もしなきゃいけないし、逆にリッチ過ぎても肩に力が入るからダメ。演出家の腕が光っていたと思います。
『ゆるり紀行』って丁度いいアングラ感があるので、深夜アニメに慣れ親しんだ身としては、よっぽど気を抜いて見られたというのもあります。
書きながら気付いたけど、私にとって『ゆるり紀行』を見るときの感情の移入先はアレンとエレナの方でした。タクミさんじゃない。だからこの2人が笑顔になるほど嬉しいし、ご飯を食べてぐっすり眠れたら嬉しい。しかも素直さが異世界レベルだから、親の立場の人に迷惑をかけて苦しませることもない。そういうことかあ。
もう蛇足かもしれませんが、大人側の視点にまわった感想も消さずに残しておきます。
子育てについて。たぶん『ゆるり紀行』だけを見て育児を語ると怒られます。現実の育児はこんな単純じゃなく、清濁を併せ吞むもので。子供がいつでも「はーい」って従順なわけは無いし、危険に飛び込んだら強く叱らなきゃいけないよ。その見方をすればツッコミ所はいくらでもあります。
でも、きっとそうじゃない。このアニメの魅力はもっと浅いところにあって、現実の厳しい部分は一旦忘れてゆるっと気楽になれるところじゃないかなって。
これは倫理を手放すのが良いという意味じゃなく、一旦置いて休めるのが癒しになりえるということです。たとえば、普段から育児をして疲れ果てた人がこの話を見てもいいわけで。現実とは異なる都合のいい子育てだけど、一度現実から離れて気持ちを楽にできるなら、それは異世界作品の良いところじゃないかなと思います。
子育てテーマの夏アニメは『デリコズ・ナーサリー』もあったけど、『ゆるり紀行』とは話題が同じだけで、全くの別物として見ていました。現実に近い育児で共感できるのが前者で、現実から遠ざけてとにかくいま痛いところに薬を塗るのが後者。
この台詞がお気に入りです。もしここが「もう本物の家族だな。」だったら納得していませんでした。
言い方は悪いですが、『ゆるり紀行』が見せる家族の形ってあくまで上澄みの楽しさではあって。それゆえ重くなり過ぎずゆるっと見られた一方、「家族」や「親」と呼ぶためにはそれだけでは不十分なものに思います。
だから「家族っぽい」という言葉で〆るのがしっくり来ました。そういえば、タクミさんも自分を親とは呼ばせていなくて。そこも自然と好感度に繋がっていたかもしれません。
疑似ハーレム
えへ~ 楽しい~ 夏アニメのダークホースでした。大好き。
内容の前に、面白かったのが結構な人がこのアニメを「誰かにオススメされて見始めた」って言うんですよ。私も全く同じで、最初はタイトルから敬遠ぎみだったところ、見事にハマってしまいました。教えてくれてありがとうね。
タイトルの意味も、演劇部の子が1人で何役も演じるからまるでハーレムのようになる純愛物語、ってことだもんね。軽薄さとは真逆。それが分かってからは、自分だけがこのアニメの良さを知っているようなオタク優越感も無くはなかったです。
幸せでいっぱいな時間が好きでした。特に『疑似ハーレム』は悪が無いところが好き。他の綺麗なアイツよりワタシの方が愛されてる!ってくだりも無く、ただ純粋に好き同士の2人がいるところ。
恋愛アニメは人によって好みがキッパリ分かれるけど、個人的には2人の恋愛はストライクゾーンでした。もう2人が園児同士でも成立しそうなくらいピュアなお話、でもそれが良い……。
笑顔が素敵。これが一番。いつも表情が良いのと、やっぱりcv早見さん劇場はスゴくって。「くひひ、くひ」って笑い方で一緒に笑顔になってるときのぐちゃぐちゃな顔、誰にも見られたくない。
凛ちゃんはね、いい子なんですよ……(クラスの友人) 可愛くて、感情豊かで、後輩からも憧れの的で。世間に見つかればあっという間に人気女優になっちゃうのも頷けました。こんな子に釣り合う相手っていうのは、いったいどんなヤツなんだ。
北浜さんはね、いい人なんですよ……そりゃあモテるよ。一途で、子供の面倒見もよくて。『疑似ハーレム』の下に「ちょっとバカでかなり鈍感な瑛二」ってあらすじが書かれてて、この字面から北浜さんの人格者っぷりを予想するのは無理があるでしょ。
7話は度肝を抜かれたね。なんだか早いうちにお正月まで済ませたと思ったら、こんな中盤で離れ離れになるなんて……。
学生にとっての卒業が、人間関係のリセットという意味でどれほど大きいことでしょう。だから続きの8話を見るのは怖くもあり、なのに不思議と、この2人なら乗り越えられそうにも思えて。
2人(少なくとも北浜さん)が見据えてる景色って学生恋愛よりもっと遠くの将来なんだよね。卒業が倒せる敵に成り変わるのはものすごいパワーだと感じます。きちんと親に挨拶をして、気を早めすぎて老後まで考えるのは見ていてにっこりでした。相手固定のラブコメってこうあってほしい。
とはいえ、まだ本当に結ばれるかは分からないところ、「からさわぎ」のコーナーで未来からちょっとお裾分けをもらえるのも嬉しかったです。
このチープな背景がすごく良いよね。あくまで時代は今のまま、2人がやってるのはただの演技で。なのに皆がこの夫婦生活を現実にあると信じて疑わない感じ。役者冥利には尽きるかもね。もう頭の中の99%は結婚するとは思いつつ、まだ確定された未来は無いところに祈りが発生していたと感じます。
このあたりの演出は分かりやすく特徴的でした。現実の一幕がステージのようになる場面。この回は2つともAパートで他人に見せる劇をやっていて、その後にある2人きりの舞台がより特別に感じました。
無観客の舞台を私たちは覗き見する形になるところ、7話の告白と返事をするシーンは12話まで隠されていて。視聴者さえも排除した2人だけの時間があるのがすごく良いよね。正しい。そしてそこまで見せてもらったなら、もうラストシーンに行けるんです。
祈りが通じると、嬉しい……ぼろぼろ泣きました。おめでとう……。
最後まで行き着くラブコメを見たときって、私はひれ伏すことしかできなくて。このアニメを見ながら「もう付き合ってる!!」とか軽口をツイートし合ってたら、本当に付き合っちゃったし、結婚しちゃった。
12話サブタイが「物語の始まり」なのもいいよね。成就した恋ほど語るに値しないものはないと言うけど、未来が確定して安心なのがゴールじゃなく、2人にとっては始まる物語があって。ここから先のお話は本当に私たちの目からは見えなくなるけど、その暮らしが幸せなことは今度こそ疑う余地はないのでしょう。
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*1:https://note.com/minakamikichi/n/n80ccef6bf613
*2:このあたりは、個人的な人格形成にも関わる話だったりします。自分語りは省きますが、Xのヘッダーに少なからず反映されてたりします。