2024冬アニメの感想

冬アニメも楽しかったね。

久しぶりの感想記事です。一度諦めたことは何度でもリスタートしていい。

ただ手間をかけすぎると大変なので1タイトル3行程度でサクっと済ませたい気持ちです。無理でした。ご容赦ください。

 

 

姫様“拷問”の時間です

なんだか生活の一部になっていたアニメでした。ずっと見ていたいよ……2期決定?!やったー!!

原作の時点から「肩肘を張らずに読める」作風が意識されていたそうで、特に穿った見方はせず、純粋に癒される視聴ができました。見ていて幸せな気分になれるアニメって最高。だいたい平日半ばに見てたよ。

1話のトースト回を見た瞬間に屈して、名古屋・大阪食い倒れ旅行を計画し始めたのも良い思い出です。

ご飯が美味しそうなのはもちろんだけど、本当に好きになれたのは次のたこやき回からだった気もします。城下の人たちが楽しそうに食べるのを、姫様がじっと見つめていたところ。食べられないまま大人になった経験がより一層たこ焼きを美味しくさせるんだよね。ここにはすごく共感できる部分がありました。

今まで色んなことを禁止されていた子が、自他ともに最大保証の優しさの中で、思い切り解放されるお話……という目線で見ることが多かったです。昔アレもコレもと禁止されて泣いたことはある?そんな苦い経験もアニメを楽しむスパイスにできてしまうね。

 

お話がストレートな分、刺さるエピソードもまっすぐ胸を突いてくる感覚でした。飯テロはまだいいんですよ、自分で食べに行けるから。でも「友達と川遊びをする」とか「公園デビューする」は、そうは行かないじゃないですか。

「正直、羨ましかったです……」

現実はアニメほど楽しいことばかりじゃないし、本気で公園デビューの見守り役になりたいかはまた別だけど、でもこれはアニメだから。幸せを濃縮した景色の中で姫様が笑顔でいられるのを見ると……なぜか自分まで救われたような、やっぱり羨ましいような。

ごちゃ混ぜな気持ちのまま号泣して見ることもよくありました。ほんとに意味不明な感情になって泣かされた数は今期イチです。こんなに優しいアニメなのに、それを穿った見方っていうのでは?

バニラ・ペシュッツさんが好き。このアニメで特に好きだったのがケーキ作りの回です。

アニメを見て、人それぞれに嬉しさを感じるポイントがあると思いますが、わたしにとっては"誰かが一生懸命作ったものが誰かに届く"ことがその一つだったりします。

姫様がケーキの上に乗ったものを見て「ペンギン」だと言ってくれたことが本当に嬉しくて。この回はそれ以上でも以下でも無いのですが、自分の中にある嬉しさをダイレクトに射貫かれた一幕でした。

 

悪役令嬢レベル99~私は裏ボスですが魔王ではありません~

大好きなアニメ、見やすくて更新があれば真っ先に見ていました。1話から色々な期待をかけてしまったところ、今は見事に報われた気持ちでいます。

期待の1つはキャラデザ。『このヒーラー、めんどくさい』『ポーション頼みで生き延びます!』から続いて、寿門堂元請アニメのデザインってほんとに可愛くて。前作『ポー頼』はシナリオの尖りがひとつの売りだった分、今作では丸みのある可愛さを思う存分見せつけてほしいな……という願いはありました。*1

期待の2つはゲーム世界に向ける目線です。このアニメって乙女ゲーそのものが好きな感じしませんか? 悪役令嬢はジャンルになるほど有名になったけど、世界観を利用して何か別のコトをするというよりは、純粋に乙女ゲーの仕組みに沿ってユミエラさんが幸せになれる物語だった気がしています。

 

1話、アリシアさんをヒロインに乙女ゲー展開を丸々やり遂げたところに、不思議と可能性を感じました。舞台説明だけなら短く済ましていいような場面。ここに掴みの1話分をかけて、ユミエラさんがこれから生きる場所がどれほど楽しくて美しい世界かをじっくり語ってくれたんだと思います。

大きく12話まで飛んで、元のゲーム「光の魔法と勇者様」のテーマソングだった「Ray of Light」が流れるところ、ここで完璧になりました。1-12話ってずっとゲームの中の話なんだね。そしてゲームの中の主人公は必ず幸せになれるんです。ユミエラさんがちょっとやそっと捻くれた人だとしても、ある程度の強制力をもって。

「少し……ううん、結構うれしかったな」

9話のここが好き。パトリックさんに別の恋人がいないことを知って、なぜかうれしくて空を落ちていくシーン。

恋を恋と認識するまでの描写が本当にいいよね……。この世界が乙女ゲームであればこそ、悪い言い方をすれば、パトリックさんって”彼氏役”として機械的にあてがわれたロールでもあります。あてがわれた人に対する気持ちを、ユミエラさんは親愛ではあっても=恋愛にはならないだろうと、一度は否定する考えを持っていて。

それなのにどうしようもなく落ちてしまう。ユミエラさんがいかにクールな人でも、レベル99でも、乙女ゲームの法の前には一人のヒロインとして幸せになってしまえるのが一つ好きなところでした。

 

本当にゲームの相手と暮らすのは幸せ? じゃあ、そのパトリックって人はよっぽどいい人なんだろうね……と圧かけ気味に思うと、本当にいい人だからビックリしちゃう。普段アニメに男が出るとキレるフォロワーさんがパトリックさんだけは認めてて感動しちゃった、そうだよね。

ぽっと出のキャラクターじゃなく、時間をかけてゆっくりとお互いを深め合える人なのが嬉しかったです。ユミエラさんが取り込まれる乙女ゲー世界そのものも、美しさは1話ですでに示していて。だから見ていて心から祝福できました。現実ではない世界を、そこが生きるに値する幸せな場所だと肯定してくれるお話が好き。

好きなキャプ(一部)

好きなキャプが多すぎて。純粋に見ていて楽しいアニメでした。エレノーラさん友達でいてくれてありがとう、こんなにかわいい人が悪役になるルートってよっぽどだよ。2枚目はまるで正ヒロインみたいに輝くユミエラさん、クールなようで実はめちゃくちゃ表情豊かだよね……? 関係ないけど3枚目は笑ったやつ、言葉が強い!

噂によると、アニメ後の話もどんどん面白くなるそうで、原作も気になっています。恋愛下手なユミエラさんのIQがみるみるうちに溶けていくとか……やっぱり読もうかな。

 

ぽんのみち

今期は『ぽんのみち』です。まさかこのアニメがBD購入枠に上がるなんて。

楽しいアニメでした。毒にも薬にもならない日常をひたすらに過ごすアニメというのは、最近のきらら枠が高品質でメッセージ性のあるアニメに仕上がっていく中、どこか懐かしい心地さえありました。もちろんどれが優れているという話ではないです。

瀬戸内らしい乾燥した景色

まずは1~11話まで気楽に見ていました。個人的に瀬戸内や広島に住んでいた経験もあって、こういう景色は心に刻まれた風景だな~と思いながら見てたり。広島の人って「じゃけえ」も「たいぎい」も本当に言う。

とはいえ、1話後半の頃なんかは斜めに見る気持ちが無くもなかったです。カイジネタもそんなに詳しくなかったし。

ただなぜか異様に映し方が良いのと、ノルマになったお決まりのポーズも楽しくて。心のままリラックスして笑顔の時間を過ごせました。

お決まりのポーズ / アングル

そして12話、良かった……実は1話のなしこちゃんやEDの歌詞でも言いまくっていた”居場所”というフレーズが返ってくる〆でした。

最終話がどうして良かったかを話す前に、このアニメにあるファンタジー性について話したいです。

『ぽんのみち』は現実に沿ったお話です。尾道という現実の舞台を背景にしているし、友達と笑い合って、どこにでもある普通の日常を暮らすというのが現実と地続きのストーリーでした。

一方で日常アニメが言う「普通の日常」って、それそのものがファンタジーだとも思っています。現実にこんな幸せな風景はありえないよ。ありえないから、時に求めるように日常アニメに魅入ったりするわけです。

 

『ぽんのみち』で分かりやすいファンタジー要素といえばチョンボ。なしこちゃんは非現実な精霊との出会いをきっかけに、漫画のような幸せな日常へと踏み込んで行きました。ここの運びはシームレスで、なしこちゃんはガラッとに心持ちが変わるわけでもないし、現実で特に絶望してるわけでもないんだね。

しばらく何気ない日々が続きました。ところが気付くとだんだん可笑しいことになってきて。跳ちゃんが住所特定して乗り込んで来るのはちょっと劇的だし、リーチェの金塊の麻雀牌*2もいくらお嬢様でも「そんな人いる?」ではあります。ケーキに刺身を合わせたって皆で笑顔になれる。

普通はあり得ないけど、もしかしたらあり得るかもしれない、現実に輪をかけたような楽しさ。これこそが日常アニメで見たいものだと思っています。ちょっと現実離れしてもいいなら5人全員乳を盛っても許されるでしょ、本当に?

そもそも東五局東九局を越えてまだ続くのが異常な数え方で、どんどん不思議の国へと迷い込むようでした。冒頭の夢オチも、いつ本当に夢から覚めてしまうのか分からなくて。

12話から 集合絵にはチョンボが入るための隙間があるみたい

日常からファンタジーが失われそうになるのが12話。ジャンタ君の故障と一緒に、非現実の象徴のようなチョンボがぐったり動かなくなるのが本当に怖かったです。

夢のような日々を終わらせたいなら、何より恐ろしいのは時間経過による自然消滅だと思います。ドラマチックでも何でもない、なあなあで現実的なものが日常からファンタジー性を奪い去ってしまうんです。*3

無くなると分かると、これまで見てきた1-11話のすべてが急にキラキラと輝きだして……何気なく見ていた楽しい日々の、そのどれもが虹色でかけがえのないモノだったのかも。

だけど悲しい結末はこのアニメに似合わないよね。麻雀の番が回るように季節が一巡りして、なしこちゃんの1話からなしこちゃんの12話へと同じ場所に還り、でも前の一巡とは少し違っていて。その差はささやかでもポジティブで、"居場所"もその意味を変えながら、不思議な日々は不思議なまま、まるで存在しない永遠の日常がそこにあるように、いつまでも楽しい日々を続けていける。見事な最終回でした。

 

ラストが良かったのはもちろんだけど、他にも恩があって……跳ちゃんが皆と仲良くしてもらえてると何だかうれしかったです。

跳ちゃんの住む広島市内と尾道ってけっこう離れてるんですよ。電車で片道1時間半くらい。この距離を移動して会いに行くと、たとえば謝られるんです「来てもらってごめんね」とか。でも5人はもっと砕けた関係でいられるのが好きで。

たぶん跳ちゃんって一人で居ることも楽しめる人

跳ちゃんにとって、皆とつるむ友情って無くて困るものではなかったと思うんです。それはなしこちゃんが居場所を「あればいい」程度に思っていたのと似ていて。気さくに手に入ったものの価値はこのアニメが見せていました。

誰かと仲良くするのって、必要があるからするものでなく、地理的・心理的に距離を無くさなきゃいけないものでも無いと思っています。それでも気が付けば自然体で接せられる人が出来たりして、お互いに依存せず、楽しい気持ちは共有できて。こういう友達のあり方ってすごく素敵だなと思います。

 

最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。

スタッフ欄から只ならぬ存在感が流れていたアニメ。ほのぼのラノベタイトルに見せかけて、鬱展開、小さな命の輝きのようなことをするのでは…?と戦々恐々しながら見始めました。

見てないアニメの名前を出すのは気が引けますが……『甲虫王者ムシキング 森の民の伝説』という歴史的な名作があることは知っていて、子供向けを装ったダークで命を扱う作品だったそうです。そして今作スタッフにはその立役者が入ってるみたい。

なのでこれを機に、どういう見せ方をするのかに触れてみたい気持ちがありました。ちなみに監督は『江戸前エルフ』6話演出の方。

 

実際、1話からは的を射た話だったと思います。外で一人で生きるには幼すぎる主人公、今にも散ってしまいそうなくずれスライム、そのどれもが弱弱しい命を見せていました。*4

弱弱しい命に憐れみをかける……のが良いのではなく、弱くともそこに強く根付いた輝きがあるところに良さがあると思っています。

たとえばOP映像も必見です。世界は暴力的なほど鮮やかで美しく、その鮮烈さの中にアイビーたちはふわふわ舞う蝶や花びらのように儚げで、だけどしっかり地に足をつけて力強く生きていける。輝くような笑顔というのはこの事に思います。


親にも村にも捨てられたアイビーにとって、他人や世界とは恐怖の対象で。疑心暗鬼になっていく様子は見ている側も一緒になって体験できるようでした。特に2話で訪れたラトト村はスゴかったです。

絵だけ見ると明るい村なのに、実際は重苦しい雰囲気の漂うシーン

偶然アイビーが子供の叱られる声を聞くと、周囲からスッと音が無くなっていくところ。アイビーの五感を通して気持ちに余裕が無くなっていき、主観的な恐怖がそのままこちら側にも流れ込んでくるようでした。本当はこの村の人だって優しいのにね。

アイビーに優しい人たち

ありがとう……大人が優しいと嬉しい。出身のラトメ村が特別にヤバかっただけで、世界は基本的には優しさで出来ているのは救いでした。ただ心はアイビー越しにすっかり疑心暗鬼だったので、99%信じていても1%でまた裏切られるのでは、星無しと知ったら手の平を返されるのでは……と不安もありました。

その1%を埋められる言葉はいつも、アイビーが去った後や、アイビーとは別のテントの中で話していました。面と向かって言ったって意味が無いことだもんね。アイビー自身が安心を自覚できる日まで、周りは見守るしか出来ないです。

その自覚について、アイビーがハッキリと星無しを打ち明けたのは最終回でした。だけどお話の時間経過の中でも、安心感は徐々に振る舞いとして滲み出ていた気もします。

アイビーが髪を切って男装して生きると決めた時は、体の動かし方も男に見えるようにしなければいけませんでした。それが人の優しさに触れるたび、いつの間にか元の女の子らしさを取り戻して、終盤は人前でも自然とフェミシアの動きをするように見えて。

ゴミとして捨てたはずの名前や人格をも拾い直すことができる……って見るとタイトルとも一貫するのかもね。

 

ダンジョン飯

飯のアニメは誰が見ても楽しめるのがいいよね、見る側の敷居が低い。ライオスさんたちが横に並ぶと、仲の良い家族か親戚のように見えるのが好きだったよ。

とてつもないアニメーションを気楽に見る贅沢な視聴をしていました。背景が当たり前のように動いたりする、お金を払わずコレを見ていいって本当?

明らかに描くのが面倒くさいシーンがいくつも降ってきて、だけどこのレベルになるともう絵を安定させるとかの次元ではないんだよね。ただ純粋に絵を描いて動かすことの楽しさがあって、こちらも一周まわって無垢に楽しさを享受するような。そんな視聴スタイルでした。

8話 ウンディーネ戦

この回とかスゴかったよね~~。感覚的な話になっちゃうけど、たまにアニメを見ているうちに視界の端からテレビの枠がスッと消えて、絵がもっと広く自由に解き放たれていくような瞬間があるんです。この回はまさにそういう体験をした回でした。

気分で耳が上下する人

マルシルさんいつもありがとう……この人が居てくれたおかげで、見ていてぐっと感情移入しやすくなった気がしています。ゲテモノ料理が出ればちゃんとウェ~って言ってくれる人。面白いのに賢くて可愛くて友達想いって最強だよね。

この世に存在しないものを使った料理の味なんて分かりようが無いところ、マルシルさんが美味しいって言うなら信じられる気持ちもありました。

 

炎竜編ではグロテスクな赤が目立っていました。過激なことをすれば注目を惹けるのはそうですが、このアニメでは前々から魔物の非情さや、食事が命を奪う儀式なことを意識的に描いていて、血塗れのシーンを見せることを納得させるだけの用意があったと思っています。何度でも雑に死んで生き返れると思ったら意外とシビアな世界なんだよね。

ただ、そんなシリアスな横軸はありつつ、細かく楽しいシーンや飯パートが挟まってくれるので見やすいアニメでした。

連続2クールなんだね、楽しみ。心配する必要は無いと思いますが、有名なタイトルな分、変にシガラミが生まれて作り辛くならないことは祈っています。

 

最強タンクの迷宮攻略~体力9999のレアスキル持ちタンク、勇者パーティーを追放される~

このアニメ良かったね~~! 可愛くて、見ていて常に好感度が高かったです。なにより心から愛されながら作られたことが伝わって来るようなアニメでした。

 

追放系でよく言われがちな、主人公が気に入らないとか、人をモノ扱いするとか、そういったエグみが驚くほどに濾過されて丁寧なアニメだったと思います。たとえば1話もルードさんの過去語りからじゃなく、妹思いの優しい人って紹介から入るんだよね。

そのエグみこそがいいんだよ!ってジビエ派の人もいると思うけど、今作の良さは臭くなりそうな部分を取った上で、本来ある追放系の旨みを骨太に見せられたところだと思っています。金髪勇者の心底悔しがる姿だったり、そこからの和解、仲間からの承認。ジャンルに何となく苦手だな~って意識があってもここは好き!って人は他にもいるんじゃないでしょうか。

 

ふふ……キミが本当に欲しいのはこっち。ルナたむの萌え萌えキャプを並べてさ、冷えたビールで飲りたい、だろう? だけどそれはあまりにオタク仕草が過ぎるから、訳知り顔でジャンルの話から入るんだ。

2話でマニシアちゃんのアホ毛がぶんぶん動いて「これはそういうものなんだ」と説明が入ったところから、既にこのアニメと共にする覚悟はできていた気がします。アホ毛が動くと楽しいもん。

実際、戦闘シーンなどすべてを潤沢に描けるアニメではなかったにしろ、人を可愛く描くことについては死守していたのも自分好みでした。こういうアニメって必ず中だるみする時期があって、『最強タンク』も例に漏れなかったのに、一番大切なキャラクターの魅力だけは外さないで立派に全話が楽しかったの。かなりスゴいことに思うよ。

 

ラストで本物の仲間ができる展開をルナさんが担うのが新鮮でした。その役って主人公じゃなくてもいいんだ。ルナさんがどれだけ優しくて可愛い人かはずっと見てきたから、この人が幸せそうに笑ってると心から嬉しくなっちゃうよ。

笑顔が素敵。身も蓋も無い感想だけどこのアニメは本当にそう。笑顔が素敵なアニメを嫌いになんてならないね。

あと良かったのが、ほとんどの話数で始まって1分以内には可愛いシーンが用意されてるんですよ。萌えのお通し。掴みからぎゅっと引きこんで、自然とこのアニメの雰囲気に入って行けました。

人を描くことに意識の向いたアニメだったので、12話の最後に今まで登場した人たちをじっくり映してスタッフロールに入るのも万感の思いでした。ああ、良いアニメだったねぇ……。

 

ポケットモンスター(2023)

45話、テラパゴスのかがやき編の終わりまで。今期もこのアニメが楽しくて仕方ないです。今から途中参戦でも見ても大丈夫だよ。

歴史あるタイトルなのに時代の最先端をひた走るアニメでした。cv大谷育江のメスガキちゃんが有名だけど他にもいっぱいあったね。自爆したオニゴーリさんが生きてるとうれしい。

きゅ、きゅーとあぐれっしょん……!カヌチャンが出るたびに可愛くて可愛くて、しかも泣かせるまでがワンセット。ふてぶてしく飯を要求するシーンを挟むあたり確信犯な気もします。夕方アニメは青少年をどこへ導こうとしてるんだろう。

好きなシーン、リコちゃんを奪う悪い大人 vs リコちゃんを守る大人の図。1,2話のペンダント探しからリコロイってディズニープリンセス映画みたいな雰囲気ありませんか? 顔のいい人が多すぎるよ。

姪。姪……?

45話まで見てお恥ずかしいのですが、最近ようやくドットくんがドットちゃんなことを知りました。本当は序盤からマードックさんが姪と言ってたのに。いや、でもだって……ええ? *5

びっくりしたけどドットさんの在り方は変わらないよね。もっともっと好きになれそうです。リコちゃんを攫った大人に敵意を向ける表情もCool. ところで大人になったらドットさんはリコちゃんの身長を追い越すかってどう思いますか?

 

リコロイは初めてのシリーズ視聴で、45話ラストのあのシーンはいつか来るものが遂に来た感覚でした。今とても難しい感情が渦巻いています。もちろん嬉しくて祝福する気持ちが一番で、ほんの少し寂しくもあって……先人たちはこの感情を見届けてきたんだね。

次はアカデミー編、ゲームをプレイした身としてもすごく楽しみです。チリちゃんも出る!

 

魔法少女にあこがれて

ほんとはもっと可愛くてもっと素敵な私でいたいけど――

好きなアニメ!エロアニメが好きで本当に良かった。登場人物がみんな強くてカッコよくて美しさを持つ人で、しかも(あらゆる意味で)心が純粋な人だったので気持ちよく見ていられました。

好きなカット

うてなちゃんに勝てる人って誰もいない。普通なら一般オタクがあこがれの存在にお触りするなんてNGだけど、うてなちゃんの場合は本人のカリスマが圧倒的すぎて。

日常も非日常も、すべての行動原理がうてなちゃん自身の愛情にあるのが良いよね。愛です、愛ですよ。このアニメの中心にはいつも愛が通っていました。

それもラブ、これもラブ

たとえばエノルミータという手の届く範囲の人を最大限幸せにできるひと。キウィ・こりすちゃんが幼さのある人だったからか、うてなちゃんを大黒柱に、エノルミータがひとつの家族か共同体のように見えるのも好きでした。ト○ザらス回のうてなちゃんが完全に保護者の視線をしてて大好き。

しかも魔法少女側もただのやられ役じゃなく、しっかりカッコいい顔をするのがまた良いよね。マジアベーゼ様の憧れる人たちが美しくないのは許されない。途中アズールさんがダメになりかけた時が不安だったけど、こちらの主張はマジアベーゼ本人が100倍のパワーで言い返してくれたので何も文句は無いです。

マジアベーゼが愛を与える人だから、アズールさんが愛を受ける人に進化したのは大正解だったよね。そうやって理屈の上では正解なのに人としてはどこか間違ってるっていう。

 

堂々としたアニメに思います。悪役/正義という形自体は王道で、だけど王道のアニメって下手だとすぐにバレるんですよね。『まほあこ』は毎話ドッシリかつ楽しんで見られました。ここまでやってさらに13話で水着回が付いてくると……うれしい!

 

結婚指輪物語

普段だったら遠慮しがちなアニメ。だけどそういうのに限ってTLで評判が良くなって、去年も色々取り逃したのが悔しくて視聴していました。結果どうだったかは分からないけど見てよかったアニメです。

とはいえ無作為に選んだわけではなく、1話からなにか可能性を感じるアニメでもありました。政略結婚させられるお姫様の元へ迷いなく身を投げた主人公を見て、このアニメを信じてみようかなって。あと初回からお色気シーンがあるならと主人公も脱いだところ。対等だね。

 

ヒメちゃんをメインで見ていました。想い人が他の相手と結ばれるところを何度も見なきゃいけない……ってどんな地獄なの。事あるごとに不安そうな顔を見るたび胸が苦しくなりました。

それでもすごく良かったのが、サトウさんがはっきりヒメちゃん一筋でいてくれるのと、2人がきちんと対話するための時間があるところ。ヒメちゃんに可哀そうなキャラ付けをしたいというよりも、長い尺を取ってサトウさんから言葉をかけて、何度でも安心させてあげられるところが好きでした。

 

深淵王を倒せなかったよ ⇒ もっと指輪の力を引き出さなきゃ ⇒ そのためには(……!)⇒ (ハモり)「「子作りだ!!」子作りだな!」⇒ キャッキャ

 

ヒロインがたくさん出るアニメだからやっぱりお姫様たちが皆かわいい。たまにデフォルメになるのも好き。それから地味に大きかったのがお姫様同士の仲が良いところでした、絶対ドロドロになりそうな関係なのにね。

合う/合わないがあることを承知で見たアニメだったので、合わなかった部分もちゃんと書いておきます。担当回で魅力的だったヒロインが、その後都合のいい人になって見えたのが少し好みとは逸れていました。ネフリティスさんは自分を安売りするんじゃないよ、可愛らしい人なんだから。

これは個人の好みなので、この辺の見方を身に付ければもっと自分がアニメを楽しめるのかな~と思います。

 

ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する

綺麗~~ なんだか幼い頃に一度はこんなキラキラしたお話を夢見た気がするよ。周りで原作を読んでいる人も多く、愛されている作品だったと思います。ここのダンスシーンが大好き。

リーシェが思わず憧れてしまうような人で大好きでした。美しくて、可愛くて、勉強熱心で、人の幸せを願っていて……数えきれないほどの輝きを持っている人。特に、いつも気高く堂々としていられるところに憧れます。常に背を伸ばして、アルノルト殿下でさえ簡単に触れていい人じゃない感じ。程度こそあれお姫様が飛び抜けて綺麗だと目を奪われてしまいます。

視聴中はリーシェを美しい人として見るほか、ある意味ロールプレイングのような、自分を主人公に投影しながら見るのも上手くいきそうでした。半々くらいで見てたかなあ。

この意志の強い瞳がすごく良い。瞳のカットは作中ずっと意識的に使われていました。声も好き、最初はcv長谷川育美さんに惹かれて見始めたところ、凛々しさから可愛さまで幅のある役の声がバッチリハマっていました。

「意志の強さ」を気高さとして見せるって、言うほど簡単じゃない気がします。このお話は基本的には王道で、リーシェが強さと善性を発揮して周りを幸せにしていく物語でした。だけど気の強さは傲慢さとも隣り合わせで、ふと描き方を誤ればアクになってしまいそう。

そこをハッキリ美しい人だと見られるアニメになっていたのが素晴らしかったです。これはなにか一つの功績というわけではなく、声もデザインも脚本もバチバチの背景美術も、アニメ全体がリーシェという人の美を支えていたように思います。

これだけ綺麗なアニメなら楽しみだったのがお着替え、今までのループに加えて7度目の中でもコロコロと変わる衣装・髪形を見るのが大好きでした。変身願望が満たされる……!指輪のためにドレスを合わせるように、リーシェは愛する人のためなら自分の外見をいくらでも変えられる人で、だけど内面に譲らないモノが通ってるのがやっぱり良いよね。テラスの告白のシーンもときめいてしまいました。

 

即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。

監督:菱田正和*6で波乱を呼んでいたアニメ。とにかくノリが軽いので、落ち込んだ日に見るとなかなか気持ちが楽になりました。1クールに1本はこういうアニメが必要だよね。原作を知っている人からは本当にうまく再構成しているというウワサも聞きました、どうなんでしょう。

 

チートを名乗るならこのくらいしろ!というのがピッタリなほどの暴れアニメだったね。お話の都合上死ななさそうな人がEDを待たずに容赦なく死んでいくのは不思議な感覚でした。

人が死ぬこと、大量に使い捨てられることも、普通ならギャグでもちょっと嫌な気持ちになるところ、すでにそういう次元からは吹っ切れた世界観のお話だったので、人の死が気にならない視聴をしていました。文字通り異次元の視聴。自分の中の”普通”が通用しないのは、ある意味このアニメが見せていたテーマと合っていたのかもしれません。

 

一瞬で相手を即死させる話って、きっと面白くならないはずです。それも普通でいえば、主人公が強すぎる代わりに他の仲間が成長して頑張ったり、能力の効かない相手が出たり……って展開をしがちだと思います。そこを『即死チート』は本当にこれ一本で進んで、なのに不思議と視聴感は悪くなかったです。ほんとになんで?

高遠くんが年齢よりずっと幼い人だったり、最後に言われたポエムは一応そういう文学的な文脈があるらしいです。人間以上に生まれた者は、自分に課すべき道徳を自分で定義しなければならない……みたいな、本当か分からないけど。実は見る人が見たらまったく違う超大作だったこともあるのかもね。

 

治癒魔法の間違った使い方

この土埃だらけの場所をドカドカ走るのが良いよね~~~、お気に入りのアニメです。まるで夕方枠みたいな真正面からぶつかっていく爽快さがありました。

7話 / 11話

友情のアニメだ……!!友情のアニメが好きで、ウサトさんとカズキさんが拳を突き合わせるシーンが大好きで。

まずは7話の決戦前です。じっくり長い時間を使って、不安なこと、お互いのこと、守るべきものを語り合った夜があるところ。この回は何度も見直すほど好きでした。だけど11話で、ウサトさんが勇者2人の戦いを見送るときにはもう言葉を交わす必要は無く、ただ拳を合わせるだけで通じ合うんだよね。かっこいい~~ 男同士の友情って言葉が無い。

ローズ団長が大好き。お顔がよろしすぎるよ……メロメロにならない人が居ない。始めの方はこの人を目当てに視聴していた頃もありました。

「傷」をキーワードに8,9話を見直すとまた面白かったです。右目に受けた傷は元は戒めと罰の証。だけど傷はそれだけじゃなく、かつての仲間と過ごした家具にもドンチャン騒ぎで付いた生活傷が残っていて。自罰的な傷では前に進めなかったけど、机の傷に触れ、過去を思い出し、もう一度右目に触れることで、傷を背負う意味もまた変わって決意し直せるんだろうなって。

すぐ傍で話していたアウルさんが、瞬間的に別の場所で見えるところ

アウルさん達は既に亡くなった人で、このアニメで亡くなった人は戻ってこないから、幸せな景色はローズさんが自問自答して見ている幻覚に過ぎないんだよね。生者ではありえない動きをするカットが入り、あの鬼の大隊長が夢を見ていること、そして「今だけは」とこぼす姿に一層ぐらっと来てしまって。屈指の名シーンでした。

 

治癒師が主人公でも、むやみに怪我人を出そうとしないのは好印象でした。本番となる戦場は10話~で、それまではずっと準備パート。ウサトさんが治すために怪我人が用意されるのではなく、これから悲惨な戦いがあって、どうしても怪我人が出るから治療しなきゃいけないような。医療を主人公が目立つための道具にしないところに誠実さを感じました。

ウサトさんが本当に気持ちのいい人なんだよね…… 魔法のある世界だろうと、ウサトさんが得たものは全て自分が努力した積み重ねの上に成り立っていて。黒騎士に拳が届いたのも、鎧がファンタジー的なものを差し引いて残ったウサトさんの純粋な筋力によるものだもんね。治癒魔法が使えるだけではダメだったわけです。

 

2期への布石もバッチリ、いやーこのアニメの2期が来たら絶対うれしいなあ……。たぶんアマコちゃん(獣人の女の子)とはこれから一緒に旅をするんだよね、フォロワーさんが好きそう。待ってます。

 

愚かな天使は悪魔と踊る

楽しいラブコメ。ラブコメって楽しい方がいい。

少年誌らしいアニメでした。最初は1話だけ見るつもりが、阿久津さんがいい人で、リリーちゃんがかわいい人で……にっこりギャグを眺めていたくて気付けば視聴が確定してたよ。人がハゲたら面白いに決まってるんだ。

 

楽しく見ていたところ、ラストのvs天音兄パートでは毛色の違う嬉しさがありました。ヤベェ親族に立ち向かってくれる阿久津さんの姿がすごく頼もしくて。以下は個人的なツボの話になります。

阿久津さんは天音家にとって部外者で、たとえば「これは家族の問題だ」と言われれば引き下がるしか無い人でした。この、家族を盾に横暴がまかり通ることがすごく嫌いなモノで、だけど現実にはどうしようもない無敵さもあると胸に諦観が渦巻いています。それでも好きな人が辱められたら阿久津さんが戦ってくれるのが嬉しくて、嬉しいけど、モラルに欠けた人と罵られる余地がある以上、手放しで喜んでもいられませんでした。

だけど阿久津さんに限ってこの無敵の盾を壊しうるんです。悪魔だから。掟を破ることが生業の悪魔として天音兄に一発入れられるのが、なにか自分の心のわだかまりさえ打ち砕いてくれる感覚がありました。

10話から

ここなんてシリアスな場面なのに、いきなり4人も萌えの人が出て来るのが良くも悪くも……と思っていたら、11話で阿久津さんがモラルを越える(女の子が可愛いアニメで女の子の顔を踏み砕く)ことの表現に使われていて。*7

もちろんモラルを越えて無法者でいるのが良いとは思いません。外から見れば憎らしい天音兄が傷付くべきだとも思いません。そこに向けた感情の収拾はリリーちゃんが全て代弁してくれていました。一切の不満はありません。

そりゃあラブにもなっちゃうよ……だいぶ前からラブだったかも。でも阿久津さんとリリーちゃんがギャグアニメのカップルから、この先も支え合える2人だと信じられるようになったのはこの回でした。思わず自分の中でラブコメの格が上がってしまったよ。

 

俺だけレベルアップな件

韓国発、ピッコマ連載のアニメ。A-1Picturesの2クールが約束されてるやつ。

アクションメインのよく動くアニメでした。海外では比較的アニメーション=アクションと見る価値観もあり、需要に見合った作風を感じます。クレジットにいるのはSAOで有名だった人など。独特な空力で吹っ飛んだり重心移動するアクションの数々は見応えバッチリでした。

 

シナリオは1-4話まで少しスロースタートな印象はありました。ただ原作によると最初のトラウマダンジョンはもっと長い尺を取っていたらしく、アニメ化にあたって再構成はされていたみたいです。

マブチさんの再登場が意外とうれしかったね。「ミズシノくん!」でネタにしちゃったけど本当は良い人。同じトラウマを共有したよしみか、初期メンバーの人には見ていて不思議と情が湧いてきました。それなのに、マブチさん達はこの先どれだけ頑張っても成長できない人でもあって。活躍できるかは分からないけど、これからもまた顔を見せてくれたら嬉しいな……。

一方ミズシノくんは、強さと引き換えにだんだん人の道から外れてそうなのが怖くて。急に体が変わってしまっても無感情だったり、人を殺せるようになったり、今までの清貧な暮らしが崩れて欲が出てきたり。その印にケンタッキー買って来たのは面白かったけど。

2クール目はどうなっちゃうんだろう、何だかんだ気になってしまうアニメです。

 

外科医エリーゼ

しみじみと良いアニメでした。大好き。正直想像していた以上の良作になってびっくりしました。

こちらも韓国発でピッコマ連載のアニメ。2度目の人生を日本人として生きてたからややこしいけど、原作自体は歴とした韓国ノベルだよ。

 

まずは制作から、わたしたちのMAHOです。何だかんだ気にかけちゃう。2022秋の『悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました』がどうしても心残りのある終わり方をしたのもあって、令嬢ヒロインの今作にはいっそう期待していました。

とはいえ期待しすぎないようにも……と遠くから応援していたのが、すっかり杞憂になったのが嬉しくて。宮廷の華々しさ、エリーゼの人柄、周りの人たちとの穏やかな距離感もしっかりと見せられるアニメでした。それとは別にロマンスのためなら劇場一つ燃やすくらいの暴れもやっぱり好きなやつ。

エリーゼの善性がまっすぐに光るアニメでした。主人公が魅力的とはあらゆるお話が目指すところですが、このアニメについては別格に良かったです。心から尊敬できる人……。

100%の善人って存在しないし、居たら居たでフィクションとして見るか疑いを向けてしまいそうです。そこをエリーゼはあるべき悪性が1度目の人格に吸収されて、その後ずっと自分を律する姿から、純粋な善を見出せました。それでもまだ3度目のエリーゼに残っている欠点が”悪筆”って。お、お可愛らしすぎます……!

その可愛らしい人の描き方がすっごくいい。仕草がいちいち可愛かったり、笑顔のときはにっこりで。それから良かったのが褒められたときの表情。エリーゼは自分を律する人だから、嬉しいけれど困ったような、驕りの影を感じさせなかったのは大切なポイントだったと思います。

 

医療無双の括りで見ても、ジャンル特有の嫌味がないのもおススメしやすい点です。医療というシリアスなものを主人公の株上げのために使ってほしくはない気もするんですよね。だけどエリーゼにとっての医療は徹底して罪滅ぼしと他人のために行うことで、自分を上げない性格とも相まって清涼感に繋がっていました。

好みの話で、リンデン皇太子とのプラトニックな関係もかなり好きです。エリーゼが自分の道を持つ人になったから、恋心を向ける殿下とは気持ちが交わらないままのラスト。

自分の人生を他人に委ねずとも生きていける、という強い姿に憧れがあります。個人的な考えですが、誰かと誰かが仲良くなるという話で、必ずしもゴールが恋愛や結婚でなくても良いと思っています。エリーゼが医学の道を行くと決めたなら、その道の上で最後まで幸せに生きられるし、殿下も無理に引き止めたりしないのが嬉しかったです。

でもそれは一人が良いという意味ではなくて。お互いがそのくらい自立した人であれば、もしいつか気持ちが交わったときにも正しい関係を築けると思うんです。依存し合うより支え合えるような。だから殿下が自分の心を捨てず未来に希望を託してエリーゼを見送る〆は、晴れやかな気持ちで見届けられました。

 

”後悔”が軸にあるお話でした。過去をないがしろにせず最後まで抱え続けて、今は目の前にいる人を全力で救い、未来を向いて決して暗くならず希望を持つことができる。この一連の流れも美しく思います。

そして周りの人も照らされるように本来の優しい人であり続けられて、いつの間にか手の届く範囲がじんわりと良い環境になっていく。そういう暖かさをたっぷり味わえるアニメでした。名作。

 

ゆびさきと恋々

大切に見ていました。世界の全てがこのくらい綺麗になったらいいのに。何となく静かに見ていることが多く、このアニメの見せる色に浸るような視聴ができました。

専属のアニメーターがついた指先の表現

まずはアニメでやる意義の大きい作品だったと思います。指を動かすことで感情の内側まで伝えられるね。たとえば告白のシーンでは言葉をひとつひとつ手繰るように、反対に意中じゃない桜志くんには速く指先まで伸ばす動きで(残酷だね)。アニメーションが最も得意にする方法で見せられるお話で、目を丸くしながら見ていました。

 

逸臣さんは本当はいい人で……だけどまだ素性がわからない1話時点では不安もありました。大学1年生の雪ちゃんがバーテンダーや海外経験があるという見栄えのいい特徴ばかりに惹かれるのが、わたしなら一旦冷静になってと言いたくなって。怖い人もいっぱい居るんだから。

だけどその後、雪ちゃんから逸臣さんへの気持ちが恋なのか、特徴に憧れていただけなのか、きちんと整理を付けるところは誠実でした。

"世界を広げる"はこのアニメのキーワードでした。その意味でも2話は印象深かったです。てっきりこのお話は閉じた世界にいるお姫様が、世界を旅する王子様に連れ出してもらえるストーリーなのかなと思っていて。

でも2話の雪ちゃんは、憧れて待つだけじゃなく、自分から走って別の世界へ近づいて行く姿を見せてくれました。だから逸臣さんにまた会えるし、逸臣さんから見て知りたいと思える人で、世界への探究心を持つもの同士惹かれ合うんだね。ここがひとつ見方の変わったところでした。髪色も、大人しそうな雪ちゃんが何を思って染める決意をしたんだろう……と思いを馳せてしまいます。

ここも好き。一人一人の持つ世界が、恋をして、言葉を重ねて、やがて華やかに色づいていくみたい。

雪ちゃんの世界もまた灰色ではないんだね。いつか逸臣さんが雪ちゃんを白い雪に重ねたり「綺麗で透明な入れ物のよう」と言っていたのが、最終回では実は「花が好き」だった雪ちゃんの鮮やかな世界へと一歩近づいて、雪ちゃんも外から憧れていた逸臣さんの旅に出る本当の理由を知って。これからは”私たちの世界”として、2人の見る色を共有しながら一緒に将来を歩んでいける。なんて美しいお話なんだろう……。

言葉を重ねることも。たとえば逸臣さんがよく「~~したい?したくない?」という話し方をしてくれました。これも仲が深まったとして簡単に省略していい言葉ではなかったと思います。コミュニケーションが大事とはよく言うけど、それって話が上手い下手とは少し違って、ひとつひとつお互いを確かめて相手を安心させてあげられることなんだろうなって。だから言葉のひとつが大切で、確認しあって歩んだ先に同じ目的地へとたどり着けるんだと思います。

真面目な話ばっかりになったからお腹にスマホ乗せる雪ちゃんも見て

純情な人たちを見るとき、わたし自身は見守りの立場にいることが多い気がします。大切な新芽が傷付かないかどうか固唾を飲んでいる感じ。

雪ちゃんが本当にかわいい人で、同時にポエミーでどこか地に足のつかない人でもあって。逸臣さんも目を離すと急にどこかへ消えてしまいそうで。そんな熟さない2人の傍にそれぞれ守ってくれる人がいるのが嬉しかったです。りんちゃんや京弥さんが付いて、いつでも気にかけてくれるところ。ありがとう……。わたしは画面の前にいて祈ることしか出来ないので、作中にいる人がしっかり支えてくれると本当に心強かったです。

 

僕の心のヤバいやつ(2クール目)

完成した……。

圧巻のアニメでした。このアニメに限っては視聴中の呟きがうめき声に変わってしまって。「ヒィィ…!」とか声にならない悲鳴を上げてばかりいたよ。でもなんとか頑張って文字にしてみます。

 

中学生同士の恋愛をビシバシと感じられるアニメでした。幼くて、危っかしくて、剥き身のマグマみたいな感情がそのままぶつかってくる感じ。これが高校生や大人の恋愛だとまた違うんだよね~、外側を綺麗に取り繕うことを知ってるから。どんなにクサい台詞だって吐いてしまえるのは『僕ヤバ』の魅力でした。TikTok風のOPも好き、制服を着る人にとって華のステージだね。

特に2クールに入ってから毎話がアクセルべた踏みで、加速し続けた果てにゴールまで決めてしまい呆然としています。不思議だったのが、どこかの回にズバ抜けた沸点があったわけでなく、滑らかにボルテージが上がって見えたところです。"僕"の心の中にある得体の知れない気持ちが、いつの間にか、誰に形を与えられることもなく、だけどこれは恋だと結実する感じ。なかなかタイトルに忠実なアニメだったと思います。

『僕ヤバ』視聴中の姿勢

わたしの視聴態度はこれでした、市川姉orバヤシコの立ち位置。『僕ヤバ』が恋愛アニメなのは間違いないけど、恋愛うんぬん以前に大切と思える人に幸せになってほしいと願う目線。

見守りだよね。市川と山田の関係も、世間から冷たい風に吹かれれば簡単にダメになるような儚い苗で。だから干渉しない位置から守ってくれる人たちが必要なんです。その結果、付き合う・別れるは内側にいる本人たちの話で。わたしも画面の外で腕を組んで見守ることなら出来ました。意味があったかは分かりません。

 

好きな話をあげればキリがないよ。たとえばバレンタインの話も好きでした。ショーケースのチョコは高くて買えないけど、130円のチョコまんなら自分で買って市川と食べられるところ。

これでいいじゃないですか。大事なのは値段じゃないよ……とは言うものの、大人の恋愛劇になると色々しがらみが生まれたりもして。相手の気持ちを確かめるために数字は手っ取り早いし、それが安心に繋がる人もいるから。

だけど市川たちは中学生、そもそも気にする必要が無いね。それでもバレンタインの特別さが欲しいなら、必要なのは下にある普通の肉まん120円とのたった10円差でもよくて。その10円に山田の味わいたかったものが詰まっていたと思うんです。

でもさ、市川はイケメンだからさ……。少しお高いメルティーキッスを山田へきっちり渡せるんですよ。ハァーーーカッコつけやがって。カッコいいぞ、頑張ったね……市川って意外といい人なんだよ。皆知らないと思うけど。

 

〆が修学旅行なのもいいよね~、学生にとっての一大イベントだよ。あの根拠は無くとも何かが起こりそうなソワソワ感って今は何をしたら手に入るんだろう。

だから、他の予定を蹴ってでも修学旅行に参加したい思いには共感できました。山田さんが本当に健気だよね……一度は決断したことを後から悩んだり、それでも周りのために自分ひとりで抱え込んだり、やっぱり抱えきれなくて泣いたり。後に「ただの弱い人間なんだなあって」とふり返るその脆さに、子供と大人のグラデ―ションにある等身大の感情をひしひしと感じられました。

そんな時も市川が背中を押してくれる。市川が山田さんを救えるのも、市川自身が自分の中にある同じ脆さを知っている人だからだよね。市川が山田の手を引いて走るシーンはこれまでもあったところ、いつの間にかカッコつけを越え、今では心からの頼り甲斐として見られました。

特に好きなのは、2人とも自分を好きになれたことを伝えてから相手に告白するところ。これを聞いたとき安心できました、他人を幸せにできる人って自分を好きでいられる人だと思うから。実は原作はもうちょっと続くらしいけど、アニメのグランドフィナーレにふさわしい素晴らしい最終回でした。

 

凪のあすから(1・2クール)

なんで巴日すぐ消えてしまうん……。

2024冬アニメじゃない。人からお薦めをもらって見ていました。とても感受性に訴えかけて体力を使うお話だったけど、26話分をどんどん読み進めてしまったほどに面白かったです。放送からほぼ10年だって。

今更だけど重大なネタバレも含むので、これから見る予定のある人は飛ばしてね。

 

なんとなく「綺麗で甘酸っぱい少年少女のお話なんだろうな~」くらいの事前知識で挑みました。だから身体の変化、性的比喩も含む1話ですっかり心を抉られて、その後はナイフを持った相手と切り合うような気持ちで向き合っていました。

感情の玉突き事故。誰もが誰かを好きになる気持ちを抱えて、堪えきれずに告白すれば大抵ヒドいことになり、その余波はもつれた人間関係の糸をつたって広がっていく。だからといって、自分の気持ちを隠して小さく変わらないでいることを願っても、変わりゆく大きな世界の中で否応なしに変わってしまう残酷さ。

美しい熟年夫婦のような動き、人の心を傷つけるのが上手すぎるよ……

人間関係はフクザツなのに、意外にもすんなり入ってくる分かりやすさがありました。1クール目の前半から、視線のリレーで(紡 ← まなか ← 光 ← ちさき ← 要 ←さゆ)と繋がっていたり。何となく誰が誰に好意を向けているかは察しながら進められました。

大きかったのが、決め手となるシーンごとに「この人はいま何を思っているのか」「何に傷付いたのか」がハッキリして取りやすいことです。もっとガチガチに考察しないと分からないアニメだと身構えていたので、ここは嬉しい誤算でした*8。そしてここがダイレクトに伝わるほど、苦しそうにする登場人物と同じくらいのダメージを受けてしまって……鮮烈でした。

 

感傷的な部分ばかり書いちゃったけど、このアニメ全体でやっぱり良かったという話もしたいです。

まず表情がとてつもなく良かったよね。表現すべき感情は巨大なものがゴロゴロ転がっているので、後はそれをどう料理してアニメに出すかです。ウラハラな態度を取る人が多くても、その機微まで籠った表情が見事でした。元からすぐ表情に出る人/出さない人の描き分けもあって、たとえば2章のまなかが復帰した直後、笑顔なのになぜか違和感があるような気がしたのは、表情の描写を積み重ねた先に生まれたものだったと思います。

次にセカイと少年少女との対比です。地球環境と個人間の恋愛・変わるものと変わらないもの・1章と2章で同じ見せ方だけど違うもの・陸と海…… 対比とそれにともなう反復表現が幾重にも貼り巡らされて、お互いが関わり合い、時間経過の横軸で語られるのが圧巻でした。精密機械の内側を見てるみたい。

 

全部はとても書ききれないですが、たとえば1章の(光 ← 追いかけて転ぶまなか)2章の(光 ← 追いかけて転ぶ美海)のような図にドキっとしました。2章は特に好きになる気持ちを失ったまなかの代わりに、美海が収まっていくような感じがして。

まなか → 光への「好き」が込められた石を美海が預かるシーン

ここが肝を冷やしました。まなかが恋愛からドロップアウトしたなら、美海がまなかの気持ちも引き継いで光と付き合うと言っているよう。実際のところはフェイントで、預かった石はペンダントにしてまなかへ返すという展開でした。

でもこれ、美海が変わらずに子供のままだったら、石を返さないことも全然あり得たと思うんです。変化は激痛をもたらすイジワルなものだけでなく、その人を自分なりに成長させるものでもあって。そこに横軸として時間の経過があり、少しでも良い未来に舵を切っていけるのが救いでした。

 

見ていて何度(こんなに恋愛が辛いなら辞めちゃってもいいじゃん……)と思ったか分かりません。思いながらも、2章のまなかを見たときは手の平を返すようでした。そこまでしろとは言ってないじゃん……。

このアニメは好きを諦めないでいる人たちのお話なんだね。たとえば5話の光の「誰かを好きになるの、駄目だって、無駄だって、思いたくねえ」がずっと続いていて。誰かを好きになる気持ちは海に喩えられ、海が凪ぐことの寂しさも、海が息を吹き返して起こる激しさと豊かさも、セカイと個人の両面から叩きつけられました。

 

好きな場面はさゆちゃんが要に告白成功したシーンです。やっぱり報われるお話が好きだから……。セカイの変化が個人に影響するなら、逆に個人の勇気がセカイを変えられたっていいじゃないですか。まさかこの2人が成功するとは思ってなくて。さゆちゃんの長年の思いが順当に届いたのは、この捻くれたセカイさえ貫くほどのパワーがあったと思っています。

ドッシリ見応えのあるアニメでした。きっとこのアニメを大切にしている人も多くいると思います。好きだったところ、つらかったところ、解釈をたくさん教えてね。

 

休日のわるものさん

チルアニメ。真の休日に配信から見ていました。テレビの放送はちょうど日曜深夜にやってたらしいね、何となく休日の始めに見ることが多かったですが、シメに見るのも悪くなかったのかも。

会話やシーンの区切りごとに間があって、アニメ全体からゆったりした雰囲気が漂っていました。世界も人も優しくて不要に気を回すことも無いね。心地よく身を任せる視聴ができました。

スローテンポながら魅力がいっぱい詰まっていて退屈しなかったです。

コンビニの人が話しかけて来るのとか、現実だったら行きづらくなるけど、この優しい世界の強度の前では店員さんも居てほしい人になってしまうよ。「魔法少女くん」の別れ際シーンも良かったよね~ わるものさん鼻が高いから振り返ったときの横顔がすごく映える。あとコタツでみかん剥きまくってるだけの回とかも好き。

変な感想かもしれないけど、主要メンバーのお話が恋愛を軸にしないところでリラックスできた気もしています。今期はなぜか恋愛アニメの視聴本数が多くなってしまい、それはそれで好きだけど、ちょっと休憩したいなって気分の時にはうってつけのアニメになりました。

 

異世界でもふもふなでなでするためにがんばってます。

チルアニメじゃない。でも楽な気持ちでは見ていました。

異世界 × 動物のテーマをするにあたって、魔物と動物の境界はどこにあるの?という視点から入るのは面白かったです。ただどうしても倫理的でシリアスな問題になってしまい、踏み込むほどに「癒し」からは遠ざかってしまうのは否めなかったと思います。

とはいえ見方を切り替えて、最後まで見ることはできました。このお話って過労でストレス抱えて3歳になりたいと思ってる人が主人公で、そこに倫理で武装していく見方も合わない気はします。嘘、アニメはどう見てもいい。

ちょっと気になって漫画版原作を覗いてみました。確かにこの絵のタッチなら絵柄そのものがふわふわで癒されます。ネマさんがもふなでの野望を遂げる日を待たずとも、ページをめくるたびに幸せな気持ちになれそう。

大量のお砂糖の中なら少しのシリアスは苦味として働くところ、アニメという媒体になったとき、丁度いい配分のままでいられるかはとても苦労するところだと思います。これはどのアニメでもそう。

3歳のネマさんに目線を合わせて、実は前世は大人という背伸びもありつつ、3歳なりの考えで周りを巻き込むお姫様でいられるという見方を後半はしていました。これを27歳の大人に目線を合わせてもあんまり良いことは無いのかも。自分にとって楽しめるやり方を探るような視聴になりました。

 

月刊モー想科学

このアニメちゃんと最終回まで見た? 最高のアニメだったよ。

間違いなく今期でいちばん大笑いしたアニメです。周囲で見ている人があまりに少なかったけど、こればかりは自分を信じて見た甲斐がありました。監督:馬谷いちごはたぶん偽名*9 これを失踪したと見るか、名前で売れるのを避けた天才と見るかはあなた次第です(関暁夫)

 

『モー想科学』の底を流れるのは「くだらなさ」だと思っています。もう本当にくだらない。人が動物に化けるワケは無いし、やるにしてもオシャレなやり方は他にいくらでもあります。なのにトラだし、パンダに至っては合体もする。この「くだらなさ」が罵倒の意味じゃないことはきっと分かってもらえると思います。

その意味ありげな紋章って……ひらがなカタカナだったの?!

始めの頃なんて、このアニメ大丈夫なのかって心配ではありました。獣の嗜好がある人向けなのかな……と思ったり、でも今はそれだけじゃなかった気もしています。人がトラになればオモシロいに決まってるもんね。

やがて順応していって、どんどん楽な気持ちで見られるアニメになっていきました。3話なんて最高、変身したタローさんが下手なロミジュリ舞台で踊り狂う場面。ちょうど別件でロミジュリ知識に詳しくなったので思わず前のめりになって見始めたところ、本当になんの役にも立たなかった。

「他にもマー大陸、ミー大陸、ムー大陸、メー大陸といって……」

笑い死ぬかと思っちゃった。この記者会見の場って唯一なほどシリアスな場所だったのに、「重大な発表があります」から思わず真剣になった気持ちがぜんぶ跳ね返ってきて。ムー大陸にいたってはもはや原点回帰でしょ。

 

ちょっと変な見方をしてみます。タイトルから雑誌「月刊ムー」をパロディしたアニメだと思いますが、そもそもオカルトってどういうイメージがありますか?

なんだか胡散臭いかも。でもオカルトは真面目に追求する人がおられる一方で、ユーモラスで創作的な一面もあるものと思っています。最近、本家がカービィの考察をしてる記事*10が流れてきて、意外と楽しい記事も書くんだなって。一緒にしていいかは分からないけど、SCP財団の話なんかもファンがみんな陰謀論者かというと違う気がします。

その線で『モー想科学』を見たとき、世にいる頭のカタい人たちの言う「くだらなさ」にどれだけの面白さがあるか考えるのってワクワクしませんか?

面白いアニメって、人気があるとか感動的なモノ以外にも、とことんくだらなさを煮詰めたところにもあるんだと思います。今後もし「つまらないアニメある?」って誰かに言われたらこのアニメのBDを渡すつもりです。

 

ぶっちぎり?!

ハンバーグに目玉焼き乗せたようなアニメ、もしくはカニ玉チャーハンに唐揚げ3個とエビチリ餃子付き。そりゃあ好きじゃん……って要素がモリモリ襲い掛かってくる、今期でも特に好きなアニメです。

内海紘子節ストレートパンチな雰囲気でした。わたしにとっては『SK∞』が同監督・脚本で馴染み深い作品だったので引き合いに出すことも多かったです。

 

純粋な人ってやっぱり輝いてるじゃないですか。アラちゃんをはじめ"本気人"として一途でいる人たちが綺麗で魅力的でした。純粋さは”裏表がない”と読み替えてもいいかもしれません。

綺麗なものを見せるにはどうしたらいいと思いますか? たとえばあえて真反対のものを見せるんです。『ぶっちぎり?!』はお世辞を抜きに汚さを含むアニメだと思っています。アラちゃんは下品な性欲を見せるし、変なおじさんがキャバクラに通ってるし、筋肉バトルは好きだけどお茶の間では流したくないし。

そういった汚さの中に純粋さが光るから、振り子が幅をとって勢いを増すように、綺麗なものがより強調されるんだと思います。だから見るときもアラちゃんたちが下ネタを言うかどうかではなく、その奥にある汚れの無さに注目していました。ごめんなさい筋肉も堪能しました。

 

これだけは言い訳させて……別に暴力的な人だから好きなわけじゃないよ。創作の中にいる優しい人たちに筋肉もあったらちょっと嬉しい、ただそれだけです。「胸は盛れば盛るほどいい」と似たやつです。本当に合ってる?

たった一枚で捻じ伏せる強いカットがありすぎて

マタカラさんが闇堕ちしちゃった……闇堕ちって元から高いところにいた人がズドンと落ちるに限るね。

ひとりが間違えて突っ走ったとき、アラちゃんだけじゃなく魅那斗會の人たちも一緒に命を懸けて止めようとしてくれるのが好きでした。集団の輪って気に入らない人を囲ってボコボコにするためじゃなく、助け合えるためにあるんだね……。誰かひとりに執着のある人が、実はもっと広い範囲の人々から支えられてると嬉しい。

 

なんだか、このアニメは宝石棚に入れていつまでも眺めていたい気持ちです。今期はたぶん『まほあこ』が好きなら『ぶっちぎり?!』も好きかもね~って話をしてた気がします。どちらも上辺が蠱惑的で、心はもっと綺麗。現実の人にそうあれとは望まないけど、アニメならクールに2,3本はこんな風に眺められる時間もほしいです。

そういえば、このアニメが『アラビアンナイト』を題材にするのは、主人公アラジンの純粋さを表す「ダイヤの原石」にもかかるんだろうね。汚い路地裏暮らしで、原石のように最初から綺麗ではないけれど、清く美しい心を持つ人。意外なところで実感と繋がりました。

 

ジャスミンちゃんを指名するおじさんって結局何だったんだろう。

今のところ思うのは、純潔なアラちゃんとの対比です。アラちゃんはヤンキーだったり俗っぽさで汚されても主人公として純粋さを発揮して、だけどそのたび相対的に"慣れ"のようなものが生まれてしまうかもしれません。

なら思い切り汚い人間を別に置いてしまえばいいです。中年で性欲にまみれて意志も弱い人を。ただ本物の汚い人はこのアニメには存在できないので、最後に猫オチで裏返ったのはその手があったか!と膝を打ちました。

 

 

終わりだよ

お疲れさまでした、読んでくれてありがとうね。思いを文字にすることは大変だけど、確実にやってよかった事と思います。できるだけ楽に続けたいな。

単に記録として出すよりも、書くために色々思い出したり見直す中で、新しく自分なりの整理がついて、見たアニメをもっと好きになれるところが最大のメリットだと思います。

感想は個人のもので決めつけるものではありません、それぞれが自分で感じたことが何より大切なものだと思っています。

終わりだよ~。また春アニメの話もしようね。

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*1:厳密には前の2作と『悪役99』はメインキャラデザは別の方(前作でサブキャラデザを担当されていた方が今回のメイン)なのですが、らしさを感じる可愛さは健在だったと思います。

*2:換算すると約2億らしいね

*3:もし似たアニメをあげるなら、『ワンダー・エッグ・プライオリティ』最終回や『虹ヶ咲スクールアイドル同好会』2期10話「かすみん☆ワンダーツアー」が近いかもしれません。

*4:設定は原作を元にしているので、すべてがアニメの作風というのではなく、原作とアニメの見せたいものが手を取っていたという方が近いかもしれません。

*5:無駄なあがきをすると、どこかで男の子というツイートを見て信じ込んでました

*6:『キンプリ』『Fairy蘭丸』など。本人は職業監督と言ってるけど、それにしては色が濃すぎない……?

*7:4人には申し訳ないけど……

*8:大筋がきちんと伝わるという意味で、考察しがいはたっぷりあるアニメだと思っています。

*9:ポニーキャニオン

*10:https://twitter.com/mu_gekkan/status/1775074307858960762