2022秋アニメの感想(その1)

秋アニメも楽しかったね。

引き続き、来期アニメをチェックしながらの随時更新とします。読んでくれてありがとうね。今回から更新ごとに別記事に分けようか考えてます、、開くたびに画像大量で重くなってたらごめんね。

<更新履歴>
2023/1/29 新米錬金術師 / しっぽな / 悪ラス / 虫かぶり姫 / 犯沢さん / 転剣 / チェンソー / 恋フロ
2023/2/09 後宮の烏 / 永久少年 / ビステマ / 4ウソ
2023/2/26 ジョジョ6 / 不滅2 / ポプテピ2 / アキバ冥途
2023/4/05 DIY / SPY×FAMILY / 万聖街 / ぼざろ / ロマキラ / ヤマノススメNS

 

新米錬金術師の店舗経営

OPが流れる頃にはすっかり楽しくなってる。気軽に見られて、秋クールの支えのようなアニメでした。

制作はENGI。まずはここ元請のアニメでしっかり人気が出たことが嬉しかったね。今まで何かと低予算が目立ったり粗野だと言われることも多かったけど、どこか嫌いにはなれなくて。立派にやり遂げたね……。

面白さ受け入れやすさは、お店屋さんコンセプトな原作によるものに限らず、アニメとして愛されるポイントを掴むのが上手かったなと思います。たとえば好きだったのは画像のようなところ。とにかくネタの引き出しが多くて、ぐでっとしたサラサさんの頬が伸びたときなんて「そんなコトできるの!?」ってびっくりしながら笑っていました。遊び心を凝らそうとする、これをしたらきっと喜んでくれるやろ~って仕掛けをいっぱいに用意するアニメって大好きです。

経営やお金の話をする以上、リアルで打算的な話にも傾きそうだったところ、全体的にファンタジーの優しさでまとまっていたのにも親近感がありました。盗賊の一件など笑って済ませられないラインもありつつ、かといって深刻にもなり過ぎず。ちょうど良いバランスの上で楽しい視聴になって、かつサラサさんの性格や魅力も引き立って見えました。多分盗賊に関してはサラサさんにとって許せない一線を仄めかしつつ、それを主題にするまでに至らない塩梅がよかったね。

アイリスさんも大好き、台風の目みたいな人だったね……。「どうしてもやらかしてしまう人」ってキャラは居るけど、アイリスさんの場合は初登場から片腕すっ飛ばして出てきて。ドジっ子では言い表せないような、「この人はやるぞ」という格の違いを見せられたね。

それでもアイリスさんの明るく前向きなところが好きでした。11話のカッコいい表情見た? ズルいよね……ロレアちゃんくらいの人ならお姫様抱っこもできるし。テンション高めな今作でも特にどうかしていた*1蜂蜜採取の回で笑ってからは、OPでアイリスさんが持っているものが蜂蜜だと気付いて、その後起こるだろう事態を偲ぶようになったり。

特に好きだったのは6話でしょうか、辺境の村に住むお話でひたすらに食って寝て幸せそうにしてる人がいるのが良すぎるんだよね。このアニメってスローライフ要素もあって、気ままに自分のお店を持って楽しい人たちと笑い合って暮らせたらいいな、なんて目線もあるわけです。そこで6話でピクニックをして、何を気負うこともなく、ただ皆が笑顔で幸せにいられる時間があることに癒されてしまいました。

最終話もすごく良かったね、サラサさんが王都で暮らすか村に残るかを選ぶ回。ここまでのお話で、サラサさんが地に足の付いた考え方をする人だと身に染みている分、もう帰って来ないんじゃないかな……と不安気なロレアちゃんにもしっかり感情移入してしまいました。

だけどサラサさんは村に残ることを選んでくれる。賑やかになった今では信じられないけど2話の時点では一人ぼっちの部屋で泣くサラサさんの姿もあったんだよね。ヨック村での生活は村人ひとりひとりの名前を呼べるほどに馴染んでいて、サラサさんに新しい居場所が出来たこと。それに加えて、賢い商人の目を持つサラサさんから見ても、ヨック村での日々は切り捨てられないほどの価値があると太鼓判を押してくれたような。そんな嬉しさを感じました。実際サラサさんなら王都暮らしを選んでもおかしくなさそうだったもんね。

放送後のお疲れ絵*2も嬉しかった……私たちのヘルフレイムグリズリーさんが出てる! 正直なにがあんなに可愛いのかは説明できないけど、すっかり癖になっちゃったね……。どこかでまた出てほしいなと期待していた分、なんだか制作陣と気持ちが通じ合った気がします。もしかして公式で認知された萌えキャラだったりする?

ミニアニメもあるから見逃してた人は見てね。この「罪悪感」のキャプ色々と噛み合ってなくてすき。

 

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うちの師匠はしっぽがない

見て、ウチらのまめだがあんなに立派になって……

まめだちゃんの表情豊かさと一生懸命さにすっかりメロメロにされました。「まめだ」の名前も可愛いし『しっぽな』って略称すら可愛い。ギャグ顔が楽しいのもそうだけど、たまにビックリするくらい美人さんの表情もするよね。OPの振り返るところとか大好き。

特にこの、澄ました顔からふにゃっと笑顔になるようなところ。『しっぽな』は登場人物を眺めているだけでも自然と幸せになってしまうような魅力があったと思います。まめだちゃんばっかりだけど、例えば師匠にもすごく繊細な描き方が見られて、芸が身に染みついた人の所作、日常でも唄うような言い回しにも見所がありました。

時は大正、人々が化生の類を忘れて工業に踏み込もうという境目の時代のお話でした。なまじ清潔でストレートなお話だからか評価の的に上がりにくいのがもどかしいね。

上方落語をテーマに芸事への厳しさもあり、芸への向き合い方にはかなり共感するところが大きかったです。特に4話サブタイにもなった「見せん下手くそより、見せる下手くそや」は大切な言葉に思います。芸というほど大層でなくても、人に何かを見せたいときはあるし、練習して上手くなってから人前に出そうと思っても大抵は成功しないものだもんね。

まめだちゃんの上達はスローペースで、じっくり話数をかけて向き合ってくれるのも好感がありました。そんな一朝一夕で上手くなるものじゃないね。甘くない世界でも頑張れてしまう子の健気さと、それだけに反動で空回れば人並みに落ち込むし、フォローしてくれる周りの温かさも嬉しくて。たぶん7話になる頃には、すっかりまめだちゃんを我が子のように見守る姿勢が出来ていた気がします。

そして7話がほんとうに良かった……まめだちゃんの初舞台。危なっかしさ満点の語りは暗い雰囲気も相まって気が気じゃなかったです。だけど落語に憧れるきっかけだった「その道中の陽気なこと!」を今は自分が言える立場になってること、(落語ってなんか楽しいかも)と思えること、あれを見たときがもう直球で嬉しかったね。

頑張った子が派手に転ばないか心配な視線*3というのが大好きです。だけどしららちゃんと違って、師匠は転ぶのは織り込み済みの視線を投げてるんだね。その上でまめだちゃんの舞台を肯定してあげられる。最終回に通じる"良き師匠"であることは、この時点でだいぶ印象付いていた気がします。

8話~は第2部といった雰囲気で、今度は師匠の側に掘り下げがあるお話でした。クールな師匠も意外と顔に出るタイプで、人を化かそうと企んでるときのニヤッとする表情も楽しかったね。

このお話は落語をメインにしつつ、底の方には人間への愛執のような想いも流れて見えました。単純な好意とは言えないけれど、人に裏切られ、人を憎み、古くなっていく自分たちをそれでも忘れられたくない思い。

それと反対に「オレの芸は終わらせろ」と言ってくるのが文鳥師匠でした。文鳥師匠がするのは恨みの芸で、「芸人なら末期哀れは覚悟の上」を体で表すような人。大黒亭の名が背負っている薄暗さが見えてくるほど、まめだちゃんに同じ轍を踏ませたくない気持ちも募りました。7話で成長したとはいえ、華街の酒の席にまめだちゃん一人で挑むのは殺生だと胸が痛んだり。

だけど古いものをそのまま受け継ぐだけでなく、文狐師匠の代で新しい自分の芸を始めろという意味に収まっていくんだね。そして弟子のまめだちゃんから見ても、文狐師匠は既にそれが出来ていて、良き師匠になれていると。

最終回はシンプルな筋書きにも思いました。ただラストの葉桜をなぞった言い回し*4は洒落てたね。文鳥師匠という桜のように大きな存在が無くなって、やっと平穏になるかと思いきや、少し季節の進んだ葉桜の今も大黒亭を名乗る2人にまだまだ心が落ち着かない……みたいな。期待の溢れるラストでした。

恨みの芸が形を変えて、物事が新しくなることを良しとする一方、大黒亭の名は昔のまま受け継がれるのがまた良いよね。文鳥師匠を忘れ去るのではなく、やっぱり古いものを大切にする思いも生きていて、襲名という形で結ぶのも良い終わり方でした。そもそも4大師匠がみんな文鳥師匠を大好きなのも伝わっていて、その気持ちも残り続けると確信できたことも救いだったと思います。

 

OPも好き。初めこそ和風っぽくなさを感じたけど、改めて聞くと古さと新しさの両方があるピッタリな曲に思います。まめだちゃんがピョーンって出てくるのが好き。そしてEDも。「回れ」といって回るまめだ、「揺らせ」といって揺れるまめだ、きゅーと……。

 

悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました

毎週楽しみに見ていました。王道寄りの展開と、何よりアイリーン様のたくましさに好感度が高かったです。愛を持って、言うべきことはズバッと言えて、どんな困難も主体的に乗り越えられるヒロインって憧れてしまいます。

クロード様、隙があるところも含めて完璧な王子様だったね……絶対に他の女に靡いたりしない。アイリーン様に振り回されて戸惑ったり、段々とアイリーン様が無くてはならない存在に変わっていく姿がいじらしくて。あんなに凛としてるのに分かりやすく拗ねるのもいいよね、お可愛らしい……。

キース様とベルゼビュート様のコンビも見ていて好きでした。忠臣・元裏切り者・眼鏡のcv福山潤と並べられて好きにならない訳がないよ。ベルゼビュート様の褒められてパっと笑顔になるところも可愛くて、何となく気になっていました。その分、最終回がベルゼビュート様の吹くラッパで終わるのも嬉しかったね。

全体的に勧善懲悪のお話で、本来は悪役だったアイリーン様の他に、明確に悪者がいる印象でした。セドリック様、セレナ様と、アクの強い人たちはそれでも最後には丸みを見せたようで。だけど正主人公のリリア様だけは特別で、邪悪といえるほどの威圧感がある人でした。12話アイキャッチの笑みとか放送コードぎりぎりの表情だったよね……。この子には何があったんだろう?と逆に気になってしまって、このタイトルに色を付けるかなりスパイスの効いた人だったと思います。

10話ラストの「邪魔な女」扱い、11話のアーモンドを庇って悪役の台詞を吐くシーンとかは大盛り上がりだったね。悪役令嬢の原点に帰ってくるみたいで。特にアイリーン様の、感情を剥き出しにする/隠す/隠してるけどちょっと漏れてる、みたいな演技の幅が凄まじくて思わず入り込んでしまいました。

小説では既に一大ジャンルの悪役令嬢ものが、少し遅れてアニメでも今どんどん増え始めてる気がします。過去にアニメ化までされてるのって『はめフラ』くらい?これからもっと増えていくんだろうね。今作はあまり余裕のある制作には見えなかったけれど、ここからジャンルとしての地位も高まって万全の体制で挑めるのかな……と思ったら、もう2023冬アニメの時点でだいぶその気配があるね。

虫かぶり姫

すっかり好きなアニメ。一度は夢に見るような可憐で甘々な世界観に身を委ねて見ていました。エリアーナ嬢とクリストファー殿下が並ぶと本当に絵になるよね。

同じ社交界でも『悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました』とは逆で、自分から困難を乗り越えるよりは後ろから助言を与え、周りが解決・お姫様扱いをしてくれる雰囲気でした。見ていて最初の頃こそそれを良しとするかは悩みましたが、ただ後半からはその発言にも重みがあることを自覚したりと、自分勝手な物言いばかりでなく、あくまで王妃となる人の品位を損なわない領分でしたたかになっていくところが良かったね。

まず嬉しかったのが1話から、殿下の「あなたは私の隣で本を読んでいるだけでいいよ」の台詞。これは見せかけの婚約者に向けた台詞でも、同じく趣味に時間を使う身としては確かに魅力的な提案に聞こえました。あなたの自由な時間を守ってみせよう、なんて言われてみたいな……。

趣味に耽る生活が充分に満足できるものと共感している分、元の生活と殿下への恋心が引き合いに出され、どちらが幸せだったか葛藤するのは身につまされる思いでした。結婚って幸せの象徴な一方で、自分の時間の大半を捧げる行為でもあるよね。貴族として公務を抱える立場ならなおさらでしょう。

それだけに最後は殿下の隣を譲らず、かつ趣味の時間も手に入れるのが一挙両得の勢いだったね。ここが元々100%だと思っていた幸せをさらに200%へ抜けて行くような嬉しさを感じました。

好きだったところは沢山あるけど、何気ないところだと殿下の子供への接し方も好きでした。普段キザで(恋人以外には)当たりの強い王子様にちゃんと子供の面倒を見られる一面もあるの良いよね……。それから毎回見ていたのはエリアーナ嬢のドレス。回を追うごとに装いが変わって、その度にしっかり全身を映してくれるところにも幼心をくすぐられました。この淡くふわふわな色使いのアニメを見ている間は、自分が夢見がちでいることを許してくれた気がします。

 

名探偵コナン 犯人の犯沢さん

ショート枠。どんなに落ち込んだ日でも見れば即効で笑顔になれるアニメでした。ほっほっほ、爆発は春の季語じゃよ。

本家のコナンを自分で徹底的にネタにしていくギャグが楽しかったです。米花町は毎週のように殺人が起こるから事故物件だらけになっちゃう!とかの冗談も、こうして大真面目なパロディに凝縮されるとひたすら笑っちゃう。コナンの細かいところまで知らなくても、テンポの良さも相まって誰でも楽しめる作りになっていたと思います。OPのパラパラからEDの倉木麻衣までみっちりと笑顔が詰まった時間でした。

いざ犯人側に立ってみると蘭姉ちゃんが出たときの負けイベ感が尋常じゃなかったね、あんなの絶対に勝てないよ……。キャラクターの絵柄は本家に違いないのですが、何となく特徴の上澄みだけを掬って拡大表示したような「コレじゃなさ」が意図的に仕込まれていて、限りなく本家に近い異次元っぽさが出ているのも巧いところでした。これなら怒られない、たぶん。

見ていてすっかり犯沢さんのペースに飲まれていて、最後あたりの次回予告では、犯人と言いつつまだ何も悪い事してない!というのも言われて気付くほどでついツッコんでしまいました。これじゃタイトル詐欺になっちゃうよ~。好きだったのは田舎のお母さんが遊びに来る回、犯沢さんほんとうに心優しい子。

各話のサブタイトルもそれぞれ本家コナンにちなんでいて、最終回の「1番目の標的」なんかは劇場版「14番目の標的」から、犯沢さんが殺そうとした人物とは誰か? ⇒ 工藤新「一」の意味になってるみたい。もしも工藤新一が居なければ全ての殺人は起こらなかった……とするなら、犯沢さんはこの終わらない世界を救える唯一の人だったりするのかもね。

 

転生したら剣でした

←イメージしてた内容/実際のアニメ→

想像以上に楽しいアニメでした。タイトルの雰囲気からバトルものだと思って、それも間違いじゃないけど、蓋を開ければフランちゃんの可愛さにひたすら圧倒されるようで。我々は萌えに気を取られて世界の陰謀とかに気づかない。

三木眞一郎*5さん演じるお父さんボイスがすごく好き。ひょうきんだけど頼り甲斐がある感じいいよね。フランちゃんが怪しい人と話してるときも後ろでキッと睨みを利かせてるような。実の父親ではないにしても、子供自慢をする声なんて本物以上に嬉しそうだし、「自分はこの子のために生まれたんだ」って腑に落ちるときの納得感も凄まじかったね。

ところで、ここで各場面のフランちゃんをもう一度よく見てみよう。うーーん、かわいい!!! 師匠が表情でどうにかできるデザインではないからか、フランちゃんの方に演技の豊かさがあり、師匠は声で勝負が出来て、と良いバランスでまとまっていたと思います。♡を飛ばしながら後を付いてくるところとか大好き、なんだこの生きものは……!

お父さん代わり、お母さん代わりの人が現れて、幼いフランちゃんを周りでしっかり保護する体制が出来ているのが一番の好きポイントでした。似た雰囲気のある旅物語だと『ソマリと森の神様』とかも好き。やっぱり子供は安全が保証される環境の中で愛を受けて育つべきなんだよね。出来ることなら。

後半からは夕方アニメのような正統派冒険ファンタジーの風格になってきたね。戦闘シーンもかなり気合が入っていて、特に6話の上級悪魔(グレーターデーモン)戦は相当な見応えがありました。ずっと動いてる訳ではないのに要所がパキッと決まって全体を引き上げる感じ。それからOPで「剣の方から動いて引っ張られながら進む」みたいなカットがあるのも好きです、剣の方にも意思があるこのアニメにしか出来ない動きだよね。

これは個人的な趣味だけど、EDの何にもない原っぱを駆けているところも好きです。異世界アニメの何にもない原っぱが大好き。たぶん2期ではお洒落になって変わってしまうから、今のうちに見納めておこうね。

 

チェンソーマン

お腹いっぱいで幸せそう

皆が知ってるあのタイトル、原作未読なので新鮮な気持ちで見ていました。見るからに社運の懸かった一大プロジェクトながら、主役のデンジ君を演じた声優さんはこれが初主演らしいよ。それでもすごくハマってたよね、一体どんなプレッシャーの中で演技してたんだろう。

大ヒットするお話にはそれなりの理由があり、ついつい次へと見進めてしまうようなアニメでした。間違いなくカロリーの高い作品だけど、登場人物の多くが直情的で親しみやすかったおかげか、むしろ身構えることなく視聴していました。ある程度完成されたアニメって逆に見やすくなるとき、ない?

 

飯食って眠れれば最高!なのが分かりやすいね。夢がどうとか社会に従えだとか、小賢しいことを言ってくる人たちは大体チェンソーで解決できるところにさっぱり感がありました。倒すべき悪役もハッキリしていて、例えば日本刀の人なんかは教養人のボンボンで、デンジ君とは正反対の存在なんだね。反権力がこの作品のテーマではないと思いますが、説教を垂れてくる大人に「うるせえ!」と突き返すような、自分が純粋であることを妨げるものへの憤り、みたいなものは底を流れていた気がします。

自分の幸せはコレだと言い切れる人ってなかなか居ないです。特にそういったことに悩みがちな現代人にとって、デンジ君の実直な振る舞いはより爽快に映るのかもしれません。デンジ君は俗っぽい人だけど、根の優しさや思いやりも見えて、しっかり好きになれるキャラでした。途中デンジ君が心まで悪魔になってしまったか自問自答するときも、視聴している目線からすれば全然心優しい少年のままだったよね。悪魔は大切なごはんを人に分けたりしないよ。もしかしたらこの先でもっと悪魔側に傾いたり、自分の幸せを見失って悩んだりするのかな。

 

アキ君いい人……どうあがいても碌な最期にならないじゃん……。たとえば居酒屋シーンでさり気なく気遣いを挟んでいたり、仕草からその人の生真面目さが滲み出てくるのが好きでした。アキ宅で大きいお子様2人に手を焼いてる場面とかいつまでも眺めていたい。このアニメはシネマ的で、登場人物と同じ目線からこいつ嫌なヤツだな~とか、もしかしていい人かも……?みたいに、モノローグで語られない見たままに問いかけて印象が変わってくるのも不思議な感覚がありました。

人間臭くて親しみやすい公安メンバーとは反対に、何を考えてるのか分からない人がマキマさんでした。結局今回の範囲では謎のまま。続編する気は満々な終わり方だったけど予定はあるのかな……。

全体的に独特な視聴感で、アニメを見ているのとは別に、洋画のヒーローものを見ているような感覚もありました。写実的だとかOPが洋画の切り貼りというのもあるけど、我を征くスタイルで、これを邦画でやる上で必ずしも大衆ウケを第一にはしていないというか。

ただ内容を振り返るとそれもそのはずで、やりたいことを素直にやれないようではこのタイトルでは嘘じゃないかという気がします。たとえば〇〇って洋画のあのシーンがカッコイイからやりたい!って思えばそれをやれる自由さがあって。少なくとも主人公はそういった生き方をする人に見えたし、無秩序になる訳にはいかずとも、好きなように遊びも入れられる作風がお話にもマッチしていたと思います。*6

 

恋愛フロップス

なんだか妙に評判が良くて、とりあえず見た1話で掴まれたアニメでした。キャラデザは『きんいろモザイク』、制作は『見える子ちゃん』のPassioneで、かわいいのに肉感アリみたいなことになってる。ちなみにネタバレ厳禁のアニメだから、もし見る予定がある人は先に本編を見てね。

都合の良すぎる世界、パンを咥えた女の子とぶつかる出会い、やたらと事情通な友達……ははーんこれは何かがあるぞと思って見ていました。初めは主人公がすでに亡くなっていてゲーム世界に閉じ込められてるとか、追いかけたヒロインたちが記憶を失ってキャラクター化してるとか考えたけど、逆だったとはね。

前半はとにかくしょうもない下ネタに全力のスタイルでした。バッチリお色気路線だけどこういうコメディ全振りなら笑って見られます。卓球の球が掠れば服が爆散するなんて日常茶飯事だね、拝んでおこう。全体的に漂う2010年アニメっぽさがすごくて、そういえば初めて深夜アニメを見た頃もこんなノリがよくあったなぁと懐かしさを覚えるくらいでした。令和でもパソコン&ギャルゲーがモチーフのコテコテアニメが放送される喜び……ギャルゲーって言葉も今は死語じゃない?

筆がノリにノリまくってるような、アニメーションの冴えも凄いことになってたね。5話モンファ先生の回なんかはここで完成したんじゃないかと思うほどの出来で異様な熱気を感じました。

7話に触れない訳には行かないでしょう。ここまでかなり気楽に見ていたのもあって(1人足りなくない?)とも途中から気付いて。ホラー展開の後、これは完全に恋愛脳ルート*7だと思っていたところに流れた歌う人の居ないED。アニメを見ながらヒッ…と身を竦ませたのは久しぶりの体験でした。

これオリジナルアニメなんだよね。世界をひっくり返すどんでん返しって、それこそ一昔前のアニメには見られたけど、今それをやるのは相当なチャレンジャーだなと思います。

後半8~12話が種明かしの回。ちょっと間延びした気もするけど個人的には好きな時間でした。今までずっと10年前くらいの近しい古めかしさを出してきて、本当に朝さんの居た現実は少し先の未来で、その真ん中にこれを見ている2022年があるんだね。そう考えるとAIヒロインたちも実現しない存在ではないように思えてきて、朝さんの喪失感にも身に迫るものを感じてしまいました。

特にラストの告白まで、朝さんがたった一人を愛し抜ける情の厚い人に見えたのが好印象でした。ここにたっぷりと尺があったのは嬉しかったです。最初都合が良く見えたヒロインにも思いがけず納得できる理由があり、この手のアニメにしては珍しく苦手に感じる人が居なかったです。それだけに全員生還のハッピーエンドも嬉しかったね。

これも古典的手法かもしれないけど、全員生還の中にアオイがどのくらい含まれているかは曖昧になっているのもドラマチックだったね。こればかりは見ている人に委ねられる他なく、何を想像しても正解なんだと思います。

 

終わらないよ

秋もアニメのおかげで楽しい時間を過ごせました。見ていた中では『ヤマノススメ』を筆頭にかなり気合の入ったタイトルが多く、見応えには事欠かないクールでした。その中でも『犯沢さん』のように気楽に見られるアニメで息抜きをしたり、『4ウソ』のように自分の好みに合うアニメを見つけられたりと、バランス良く視聴できたつもりです。

サムネ候補はこのあたり。これを考えている時間もかなり楽しいです。みんなも生涯の何十分の一かを飾るキャプを探して人生に彩りを添えよう。

感想は個人のもので決めつけるものではありません。自分自身で感じたことが何より大切なものだと思っています。続きます!

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*1:誉め言葉で

*2:https://twitter.com/shinmai_renkin/status/1604862891571965952

*3:『やくならマグカップも』24話の、お披露目会の準備をする姫乃ちゃんを見つめるような

*4:「世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし」のところ

*5:『ポケットモンスター』シリーズのコジロウ役、『リーマンズクラブ』の宮澄さん役など

*6:実は『チェンソーマン』は珍しく『ポプテピピック』にも似た単独制作の形をとっていて、外部からの色々なしがらみを持ち込みにくい体制にしてるらしいよ

*7:シリアスな引きに陽気なEDが流れるって意味で