(2020/11/8 修正・追記しました )
恋する小惑星5話を見てすごく良かったので感想を書きました。5話は大きく3パートに分かれていて、海回→みらちゃんと桜先輩のお出かけ回→文化祭の準備、と続きます。間には新聞部の登場もあり、全体的にもりもりの内容です。
今日は主にまんなかのお出かけ回について書きました。
(あらすじ)なにをしてる回なの?
地学部はひとつの部活動ながら、地質班と天文班が合併して出来た部でした。文化祭を前に、それぞれの部員が具体的な夢を見つけていく中、ある日地質班の桜井と天文班のみらは2人でミネラルショー(石の展示会)に出かけることになります。桜井は石の世界に興奮し楽しい時間を過ごしますが、やがて受験勉強に身が入らないという悩みを打ち明けます。
メインどころとしては、
・地質班の桜先輩と天文班のみらちゃんが仲良くなる
・さくら先輩が将来の目標を見つけられず悩みを抱えている
のあたりです。
天文班と地質班の隔たりについて
地学部のメンバー同士は決して仲が悪いわけではありません。仲良しなんだけど、天文班と地質班はところどころで線引きがされているような描写があります。
それは2つの班が統合してまだ間もないことだったり、
(第1話 二人の約束)
単に興味の違いだったり、
(第4話 わくわく!夏合宿!)
一緒の部活動にいるけど各々はなんとなく透明な壁で分けられてるような印象があります。
じゃあ流れとしては「お出かけを通して仲良くなって(天文班と地質班の)隔たりを無くそう!」となりそうなのですが、、、というところも気にしつつ、本編を見ていきます。
本編を流し読み
『先輩真面目だから…遅刻なんてしたらがーって怒られそうだし怒った先輩めちゃくちゃおっかないですし…』
『奇遇ね。私も割と緊張するわ』
『痛い痛い痛い!ほんとに緊張してます!?』
『なるほど~』
『ちょっと。話聞いてる?』
ちょっとギクシャクしたやりとりです。「みらちゃんと桜先輩が仲良くなった」をゴールにするなら、スタートは逆に「あんまり仲良くないのでは…?距離が広いのでは?」と印象付ければ結果が目立ちそうです。
2人だけでお出かけになったのは不慮の出来事(本当はみんなで行くつもり)でしたが、この取り合わせにはけっこう異色さがありました。スマホは目の前のことに興味が無いとき使うアイテムです。*1
『先輩のお目当てはなんですか?』
『実ははっきりとは決まってなくて。むしろ勉強の息抜きに来たって感じかな。ふらっと見て歩くだけでも楽しいのよ』
『先輩頼りになる。今日はもう離れないようにしよ~』
『まったく。調子いいんだから』
お近づきポイント。仲良くなるっていっても色々あるけど、みらちゃんから桜先輩へ見せるのは慕う気持ち。ベッタリ手を握るとかじゃなくてちょこんと服の端をつまんでるのかわいい。
個人的に桜先輩のこの表情が好き…!!最初がぎこちなかっただけに、顔を緩めてくれたとき何だか本当に安心しちゃって。
(他の人もいるときはそれなりに話してるつもりだけど2人きりになった途端遠慮して無言、みたいなシチュエーションある…あるよね…?)
ここからポジティブにどんどんミネラルショーも進んでいきます。
淡々と進むだけじゃなく、同じ時間を共有するうちに2人の親密さも深まっていくのが息の合った歩幅のシーンからも感じられます。
(ちなみにミネラルショーに入るときの歩幅はバラバラでした。)
ショー巡りが終わって、場面はケーキ屋さんに移ります。
『これで帰ったらまたばりばり勉強できますね!』
『うう…』
みらちゃんは実は桜先輩が勉強のことで何か悩んでいることを察し、ずっと気にかけてくれていました。本当にいいこ……!!
ミネラルショーの間はみらちゃんのコミカルな楽しい動きが特に多くありました。詳しいことまで詮索しないなりに、もしかしてずっと桜先輩が息抜きできるよう元気づけてたのかもしれないよね…。



『あんたたち星を見つけるのが夢なのよね、もし見つけたらその先はどうするの?
大人になったらってこと。目指してる職業とか進路とかあるわけ?』
『そう言われると…わかんないです!』
『あはは…ほんと、羨ましいわ』
だけど、みらちゃんの勉強へのエールは問題の解決にはなりません。桜先輩の本当の悩みは将来の目標が決められないことだったからです。
桜先輩はすごく真面目な子です。夢という漠然とした大きなものについて、職業や進路など具体的なことを訊ねます。反面、みらちゃんはそこまで考えている訳ではありませんでした。
みらちゃんの顔に落ちる影がいい感じ。真剣な問いかけに対して笑って返すのは一歩間違えればヘラヘラしてるようにも見えがち、でもこのシーンでは自分なりにちゃんと質問へ向き合っているような感じがします。
『あんたもいい感じに地質班に染まってきたわね!堀り進むわよ~』
『あ~クルミの化石おいしい~』
『今日誘ってもらったお礼です!今度はみんなで行きたいですね。じゃあ私こっちなので』
『あ…ああ…じゃあまた』
『来てくれてありがとうって…言いそびれちゃったじゃない』
ここ、すごくびっくりしたんです。みらちゃんがお礼を言う間もなく意外とサラッと帰っちゃったな…って。仲良くなったはずなのに、、、
(2020.11.08追記 当時の解釈も残しつつ追記しています。そのため以下2つの視点から書いています。ご容赦ください…!<(_ _)>)
(1)
今回は石が好きな地質班の桜先輩と、星が好きな天文班のみらちゃんが、石の展示会に行ったお話でした。みらちゃんはミネラルショーを本当に楽しんでいましたが、本来は専門外の分野にあたります。
2人は確かに仲良くなったのですが、「個人の好きなこと」まで一緒になる必要はないはずです。冒頭で地質班と天文班の間の線引きについて書きましたが、線は不仲の印として取り払うべきものではなく、むしろ「各々に好きなことがある」として尊重されるものでした。
みらちゃんがドライ気味に帰ってしまったのは、桜先輩と仲良くなって地質のことも肯定してくれた上で、自分の本来好きなものも持ち続けてる。という折り合いのように思いました。逆にいえば、たとえ趣味の違う人でも各々の好きなものを曲げないままちゃんと仲良くなれる。ってことでもあるのかな…!
(2)
上では、みらちゃんがササッと帰っちゃった!という見方をしていましたが、それとは別に桜先輩のほうに注目して、人物紹介として見るともっとスムーズな気がします。
桜先輩はとても真面目で優秀な人です。それだけに何かしようとするとき確実な準備や現実的な将来設計がないと動けない、何かと損を背負いがちな一面を持っています。
受験という時期にハッキリした目標が見えず上の空になったり、みらちゃんの夢について建設的な意見を求めたり。準備しようとするぶん出だしが遅れて、この場面でもお礼を言うタイミングを逃してしまいました。
この先5話のラスト、文化祭の準備シーンでは、目標の決まっている他の地学部メンバーがどんどん事を進める中、ひとり置いてかれそうな桜先輩が描かれます。「現実的じゃない 無理だ」と否定する桜先輩に対して、たとえ中途半端でも、あなたが何を調べて何を思ったのかを知りたい。と手を差し伸べられ気持ちを新たに6話へと続きます。
みらちゃんを帰らせてしまうこの場面は、気丈で英語もペラペラで完璧に見える桜先輩が実は出遅れがちな一面も持っていて、それが悩みやふるまいにも表れている。というひとコマにも見られます。
続き!!
『トパーズ。進むべき方向性に気づかせてくれる石、か。粋なことしてくれるわね』
みらちゃんが別れ際に贈ったプレゼントです。カリスマパワーが高すぎる・・・!
桜先輩の悩みと石言葉を知ってか知らずかは分からないけど、目標が見えない桜先輩にとってピッタリの石です。100点の贈り物。
『今日はありがとう。私もすごく楽しか…いやあの子にこんな風に言うのはちょっと』
『話聞いてくれて嬉しかったよ。勉強頑張るね…いやこれ誰よ』
書いては消しを繰り返す桜先輩。返事をすぐに送れない仕草にも性格が出ます。ベタベタな友達言葉にならないようなちょうどいい距離感。
この話の最後の絵です。みらちゃんが自分で自分に買った石。
なんだろう?と思っていると、みらちゃんがメールを受信したときほんの一瞬映っていました。
めのう。トパーズが桜先輩に向けられた言葉なら、めのうはみらちゃんに向かう言葉のはずです。宝石言葉は・・・宝石言葉が見えない!!なんて書いてあるの!!
ググりました。
アゲート(めのう)の石言葉
アゲートの石言葉は「勇気」「対人関係調和」「長寿」「健康」など。
アゲートの効果は、地に足のついたしっかりとしたビジョンを持ち主に与えるところにあります。大地と関わりの深い石なので、夢想家の対極にある石です。
自分自身の芯があやふやで、曖昧な所があるという人に、夢や希望は努力に裏打ちされたものなのだと、現実を見せてくれるのです。しかし威圧感は皆無です。自然とそのように仕向けてくれる、という表現が一番近いかもしれません。
ピッタリ…やっぱりみらちゃんは対人関係のカリスマやったんや…
地に足のついた考え方は、今回は欠点としても扱われますが、生来の長所でもあります。少なくともみらちゃんは持っていないスキルです(ケーキ屋さんで将来のプランを質問されたときみらちゃんは答えられませんでした。)
桜先輩がなんでもすぐ行動に移せるみらちゃんを羨ましがる一方で、みらちゃんもまた桜先輩の堅実な考え方ができるところに惹かれていたのかもしれません。
それを地質班サイドな桜先輩と関わりを深めた今回のおみやげにすること。。。までいくと妄想に突入するのでここまで!!
余談
手前にモノを置く






5話の中でよく使われてるように見えました。登場人物がその世界の中に居て話したり考えたりするのを、世界の外から一歩引いて覗きこんでるような感じがします。
おわり
些細な動きや何気ない1枚で人柄や思ってることを匂わすやつがすき!
以上です!! 読んでくれてありがとうね。
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